「あっ……た。あったぜ、ロイ」
『マジで? サンキュー茂野!』
ロイの明るい声を聞き、これで電話が切れる。ホッとしたその瞬間。
それまで焦らすように動いていた指先が、いきなり勃起して先走りに濡れた自身に爪を立てた。
あまりの突然の出来事に驚いて携帯がカチャンと大きな音を立てて床に落ちる。
「くっぁあっ……も、やめっ」
ビリッと痺れるような強烈な感覚に耐え切れず思わず上げてしまった嬌声にキーンがフンッと鼻を鳴らした。
「あれほど声を上げるなと言ったのに……。お仕置き決定だな」
「お仕置きって……元はと言えばてめぇが電話中におかしな事するからだろうがっ! って、人の話を聞けよっ!」
文句をいうより早く下着をずり下げられ腰を突き出すような格好を取らされた。
ロッカーの縁に掴まっていなければ崩れてしまいそうな自分の身体が情けない。
「嫌がっているようには見えなかったが?」
ああいうスリルを味わうのが好きなんだろう? と、耳元で囁かれ同時に尻に熱い手のひらが触れる。
「べ、別にそんなの好きじゃ……ぁあっ」
「そうか? その割にはいつもより敏感だな」
いやらしく尻を撫でる手つきに、燻っていた熱が疼き無意識のうちに腰が揺れる。
「あっ……く……っ」
「いやらしいな。なんだかんだいってこっちはもの欲しそうにヒクついてるぞ。本当は期待していたんじゃないのか?」
「ふぁ……ぁっあっちがっ」
クチュリと卑猥な音が響き、指がナカに進入してくる。
そんな筈はない。頭で否定してみても身体は正直でどうしようもない疼きがキーンの指に従順な反応を示していく。
「違う? そうか……それは悪かったな」
「え?」
スッと突然俺の身体からキーンが離れた。
「本気で嫌がってるようには見えなかったからてっきり期待してるものだと思っていたが、嫌なら仕方が無い」
「キーン何言って……」
あまりに突然の事で状況が読めない俺を置いて、キーンは何事も無かったかのように部屋から出て行こうとする。
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