不意に俺の携帯が着信を告げた。
「おい、鳴ってるぞ」
「うっせーな。わかってるよ」
ディスプレイを覗いてみるとさっき部屋を出たロイからだった。
ロイのヤツなんかあったのか? 着替えもそこそこに電話に出る。
「もしもーし」
『よぉ、茂野! まだロッカールームにいるか? 悪いんだけど、俺のロッカーに財布無いか見てくんない?』
「財布? なんだよ、財布忘れたのか。しゃーねーな。ちょっと待ってろよ」
チラリとキーンに目配せしてみたが探してくれる気は毛頭ないらしい。
仕方なく、ロイのロッカーを漁っているとあろう事かキーンの腕が服の中に侵入してきた。
「ぅわっ!」
『え? なんだ、どうかしたのか、茂野』
「な、なんでもねぇよ」
慌てて返事をしながらキーンを睨み付けた。
携帯を持っていないほうの手で何とか阻止しようとするが、片手じゃうまく抵抗出来ず熱い手のひらが胸板を弄る。
その手つきがいやらしく思え、神経が一気に集中する。
「んぅ……っ」
「声は上げるなよ」
耳元で低い声が囁き、乳首をキュッとつままれた。途端に全身にぞくぞくっと甘い痺れが走る。
『茂野? 具合でも悪いのか?』
「……は……そんなんじゃ、ねぇよ」
「ロイの財布捜すんじゃないのか?」
「……っ」
面白そうにククッと喉を鳴らしながら早く探せと命令してくる。
そんな事はわかってる。わかってるけど……。
ほんの少し身体を屈ませてロイのロッカーを覗き込むと、そのタイミングに合わせて下半身に手が滑り込んでくる。
「あっ……は……」
器用に潜り込んだ指先が巧みに敏感な部分に絡みつき堪らず声が洩れた。
一度火がついてしまった身体は芋ずる式に快感を引き出し、キーンの手に敏感な反応を示していく。
胸と下半身を同時に弄られ、甘い痺れに膝が笑って崩れそうになる。
『茂野? おーい?』
「……っ」
何も知らないロイの声。
ジワジワと弱い刺激だけを与えられるもどかしさに、どうにかなってしまいそうだ。
やばい、これ以上は……っ。
ガクッと崩れた膝をなんとか支えロッカーに掴まった拍子、奥の方に黒光りする物体を見つけた。
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