(薬師寺SIDE)
「あンっ、ぁあっ」
目の前で、茂野が気持ちよさそうな声を上げている。
俺は、視線を逸らす事も目を瞑ることも出来ずに、硬直してしまっていた。
時折チラッと佐藤と視線が合うたびに、心臓が跳ね上がる。
「おい」
「!?」
突然声を掛けられた。
眉村の存在をすっかり忘れて二人の行為に魅入っていた俺はあっというまに押し倒されて物凄い勢いで口付けられた。
「ん……っ、ちょっ、眉村! ココには茂野達がっ」
「こんなの間近で見せ付けられて我慢できるわけないだろ」
ギラギラと欲に駆られた瞳が俺を捉える。
貪欲に吸い付いてくる力強さに身体の芯が熱くなった。
太腿の辺りにはガチガチに硬くなったアイツのモノが当たり、更に興奮を引き出す。
俺の横では四つん這いになって気持ちよさそうに喘ぐ茂野の姿。
そんな声聞かされると、俺……っ。
絶対に人に自分のあんなあられもない姿を見せたくないって言う気持ちと、雰囲気に呑まれてしまいたいと言う気持ちが交錯する。
だが、眉村はすっかりソノ気になって「お前も諦めろ」とばかりに弱い太腿に吸い付いてもどかしい刺激を与えてくる。
「……っ。ふぁ……っ」
思わず声が洩れて慌てて口を塞いだ。
「もっと聞かせろ。今更だろ」
そっと手を外され、顔を覗き込まれる。
ココに入った時点でこうなる事は予想できた。
だが、やっぱり人前では恥ずかしい。
「わ、わかってるっ」
慌てて視線を逸らすと、眉村が喉の奥でクッと笑った気がした。
「そんなに恥ずかしいならシーツにでも顔を埋めておけ」
「……っ」
文句を言う前に身体が反転し腰を高く上げるような格好にされる。
中途半端に脱がされたズボンがなんとももどかしい。
するりと双丘を撫でられ小さな声が洩れた。
「挿れるぞ」
「いちいち言うなっ! 馬鹿っ! ぁあっっ」
言葉で改めて言われると、さらに恥ずかしくなってしまう。
いつも以上に硬くなったモノが押し入ってくる感覚に堪らずシーツをギュッと掴んだ。
「くっ、きついな……っ」
「ん、っんくぅ……っ」
部屋に響く嬌声と、湿った息遣い。
時折茂野と目が合い、ドキリと鼓動が跳ね上がる。
それが余計に俺の快感を引き出してしまう。
見られている。
そう思うと恥ずかしい。
だが、同時にいつも以上に興奮してしまっている自分がいる。
「ぅっぁあっ、ハァハァっ健、ぁっ、ぁあっ、き……っ」
「き? なんだ?」
パンパンと激しく打ちつけられて、危うく”気持ちいい”なんて口走りそうになり、慌てて顔をシーツに押し付けた。
「なんだ、どうした?」
いえねぇ。
ブンブンと首を振る。
不思議そうに顔を覗き込み、動きを止めてしまった。
急に止められると、もどかしくて身体がズクズクと疼いてしまう。
「……っ、そのっイ、イキそうって言いたかったんだよっ、だから止めるんじゃねぇっ」
俺の言葉に、眉村は少し面食らった顔をしたようだった。
だが、ふっと笑みを零すと、腰を掴んで繋がったままグルンと身体を反転させる。
「なっ!?」
「やっぱり、イク時のお前の顔が見たいからな」
真っ白なシーツから一転、目の前に眉村の顔!
「バカッ! んなもん見るなっ、ぁあっ」
いきなり律動を再開され、強烈な快感に目が眩む。
「健っ! ぁんっああっ」
「くっ、薬師寺っ俺も出そうだっ!」
貪るように首筋に吸い付き、いっそう激しく打ち付けてくる。
身体の奥で眉村が弾ける。
「んくっぅ……」
ドクドクと注ぎ込まれる感覚が強烈な快感をもたらし、俺も少し遅れて精を放出した。
前/ススム