あの日以来、先輩は僕を避けるようになった。
もしかして、無理やりしちゃったから、怒ってんのかな?
そんな不安が頭をよぎる。
学校を出ると、外は雨で、僕は憂鬱な気分になった。
傘を差してはいるけれど、濡れると意外に冷たい。
バス停を降りて、すぐの所に公園があってそこに僕と同じ制服を着た奴が雨に打たれて、ベンチに座っているのが見えた。
だれだよ、こんな雨の中傘もささずにボーっと座ってるバカは。
ベンチの脇には僕と先輩が一緒に買いに行った先輩の野球バックが・・・。
よく見てみると、雨に打たれているバカ・・は先輩だった!!
声をかけようかと迷ったけど、怒ってる先輩に会う勇気が無くって、僕はこっそり様子を見ることにした。
「はぁ・・・。」
先輩のため息が聞こえてくる。それと、ニャーッと言う猫の声。
「なんだ、お前。びしょ濡れじゃねぇか。」
先輩は小さな黒い子猫を抱き上げた。
「お前も寂しいのか?俺と一緒だな。」
猫は暴れて、先輩の腕から逃げ出した。だけどすぐに先輩の足元に擦り寄っていく。
「なんだよ、素直じゃねぇな。そんなとこまで俺にそっくりだぜ。」
クスクス笑いながら子猫の頭をポンと撫でる。
そして、もう一度ため息をついた。
なんだか先輩悲しそう。
「・・・大河の奴、怒ってるかな・・・。」
独り言に僕の名前が出てきて、ドキッとした。
なんで僕が怒ってるになるのか、わからない。
「怒ってるよな。逃げちまったし。・・・なんでいつも邪魔が入っかなぁ。」
どうやら、この間のことを言っているらしい。
「こんなに、好きなのになんで邪魔ばっか入るんだよ。」
あれ?・・・ひょっとして先輩この間逃げたのって、僕が無理にシて怒ってるんじゃなくって、恥ずかしくなって逃げてたわけ!?
なぁんだ、そっか。
安心したら、なんだかおかしくなってきた。
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