玄関を出ると、姉貴が誰かとしゃべってる。
誰だろう?
顔を上げて、驚いた。
「茂野先輩!」
「よぉ、大河。一緒に学校行こうぜ。」
先輩は少し恥ずかしそうにそう言った。
僕は、まさか先輩が迎えに来てくれるなんて思ってなかったから、ビックリして思考がしばらく止まっていた。
「どうした?どっか具合悪いのか?」
心配そうな先輩の顔があって、僕は我に返った。
「何でも、ないです。」
僕がそういうと、先輩は安心したように笑った。
「じゃ、行こうぜ。」
そう言って当たり前のように手を差し出す。
夢みたいだ。
朝から先輩の顔が見れて、しかも手まで繋いで。
今まで暗く沈んでいた気分が一気に浮上する。
なぜか、姉貴というオマケがついてるけど、そこは気にしない。
ぎゅっと繋いだ手から先輩のぬくもりが伝わってきて、思わず口元が緩んじゃう。
「お前、なんかいい事あった?」
「え!?なんで?」
「だって、嬉しそうな顔してるし・・・。」
「当たり前じゃないですか。大好きな先輩が僕のこと迎えに来てくれたんだから。」
嬉しくないほうがどうかしてるよ。
「大河、人前で大好きとか言うなよっ」
「だって、好きなんだし本当のことだもん。」
先輩は恥ずかしそうに頬を染めた。
そんな先輩をすごく可愛いと思う。
口に出して言うと、怒られちゃうけど。
そうこうしている間に、学校に着いた。
やっとお邪魔虫の姉貴と別れ、二人っきりで朝練のために部室へ。
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