「誘ってるから触ってやったんだ」
「は? 誘ってねぇっての」
お前、どっか頭沸いてんじゃねぇ?
そう言いながら、眉を顰め顔を覗き込んでくる。
右手に、魚肉ソーセージが数本握られていてそっちの方に視線が集中した。
「ん? あぁ・・なんだ、お前も食いたいのか?」
視線に気づいた茂野は、一本を口にほおばりながらもう一本を俺に差し出してくる。
「いや・・いらね」
「ふぅん・・・。んじゃ、俺が食っちまうぞ?」
「あぁ・・勝手にしろ」
マジでこいつと居ると調子が狂っちまう。
もごもごと口いっぱいに頬張っているその姿がなんとも卑猥で暴走しそうになるのを抑えるのに精一杯だった。
「んだよ・・さっきから、怖い顔して黙り込んで・・。ただでさえ仏頂面してんのにますます酷い顔になってんぞ?」
「うるせぇ。 酷い顔は余計だ!」
本気で気づいてねぇのか、それともわざと誘っているのか。
ソーセージ片手に近づいてくる。
たくっ・・誰のせいでこんな顔してると思ってんだ。
「相変わらずイライラしてんなー・・やっぱソーセージ食ってカルシウム取ったほうがいいんじゃね?」
ソーセージを口に銜えながらそう言われ、俺の中で何かがプチッと切れる音がした。
「・・・そうだな。お前の言うとおりにしよう」
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