「・・・・珍しいじゃねぇか。 お前が部屋に入れてくれるなんて」
翌日、俺はシゲノを部屋に呼び出していた。
別に深い意味はなく、今日はアイツもオフで暇してたからな。
退屈しのぎにはなるだろう。
アイツは疑うことなく俺についてきて、暢気に辺りをキョロキョロ。
「別に・・・。たまにはいいだろ? イヤなのか」
「んにゃ。いいんじゃね? 悪くねぇよ」
無邪気な笑顔を見せるシゲノ。
全く俺を警戒してる様子はなく、ずうずうしくも人のベッドにどっかりと腰を下ろした。
東洋人というものは皆そうなのか、こいつの神経が図太いだけなのかはわからんが、シゲノは遠慮という言葉を知らないらしい。
今も許可なくその辺に置いてあった雑誌を、ベッドに寝転がって読み始めていて、少し呆れてしまう。
「おい・・、勝手に触るんじゃねぇ。」
雑誌を取り上げると、小さく「あっ」と呟いてムクリと起き上がった。
「んだよ、いいじゃねぇか。俺とお前の仲だし。」
顔色を伺うように上目遣いで見つめられると、ドキリッと心臓が跳ね上がる。
女みたいな滑らかな肌も柔らかさもねぇが、シゲノには不可思議な色香が漂っていて、一瞬目眩を覚えた。
そんな俺の気も知らないで、手から雑誌を取り上げると再びベッドに寝そべりパラパラとページを捲り始めた。
「なぁ、腹減った・・。なんか食うもんねぇ?」
さも当たり前のように、そう呟いたかと思うとまた起き上がり冷蔵庫を物色し始める。
「たく・・ちょっとは遠慮しろよ・・・。」
ほんの少し前かがみ気味で、腰がチラリと見えて邪な感情が頭を擡げる。
男のクセに、いい腰してるよな・・。
ツツ・・っと腰に指を這わせると、茂野の身体が大げさなほど跳ね上がった。
「・・・っ! なにすんだっ」
頬を染めて睨み付けてくる。
別に男になんか興味はなかったがこいつだけは別格だった。
仕草の一つ一つに惹きつけられて目が離せない。
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