「もしもし?」
「もー、何やってたんだよ。いないのかと思って心配したじゃないか」
久々に聞くその声に、ほんの少しの罪悪感を覚える。
「悪りぃ今、部室で着替えてたところでさ、気づかなかったんだよ」
慌てて取り繕うように言うと電話越しに「ふぅん」っと言う声が響いてきた。
「吾郎君は今、一人なの?」
「あたり前だろ。残って練習してたら遅くなっちまったんだ」
快感に痺れている脳は、耳に届く彼の声に反応し中途半端な刺激として身体を熱くさせる。
何気ない会話の一つ一つにでさえ疼く身体を抑えきれずに吾郎の手は緩々と自身を扱き始めた
突然途切れた会話に耳を済ませていると僅かに衣擦れの音が聞こえ、寿也は息を呑んだ。
一体何をしているのだろう……本当に今一人でいるのだろうか?
様々な思いが交錯する。
「吾郎君今、何してるの?」
「いっいま……はぁっ……ちょっと……っはぁ……用事があって……ぁあっ」
「用事って何?」
探りを入れるように突っ込まれて尋ねれれれば既に快楽に溺れつつある脳はうまく働かずに答えられずに押し黙ってしまう。
寿也の耳には荒い息遣いと時々衣擦れの音が響き渡るのみ。
「吾郎君、テレフォンセックスしようか?」
「へっ? ああっ……何言ってんだよっ寿」
「どうせ、一人でナニってんだろ? 僕も君の声聞いたら我慢できなくなっちゃったから」
「……っ」
受話器から聴こえる囁くような甘い声色は、すぐ近くに寿也がいるような錯覚を起こし身体がズクンっと疼いた。
「いいかい? 君の右手は僕の手だ。僕が言うとおりにその手を動かしてごらん」
普段の自分なら、んな恥ずかしいことやってられるか!
と言ってやりたいところだったが、今の吾郎にそんな余裕は無くまるで魔法にでもかかってしまったかのように自然に手が動いていく。
「吾郎君……服の中に手を入れて……乳首を摘んで」
「んっ、ぁあっ」
「ふふ……敏感だね……可愛いよ」
寿也の声に翻弄され吾郎の身体は芋蔓式に快感を引き出してゆく。
だんだんと、喘ぐ声が大きくなり寿也の自身もはちきれんばかりに、膨張していた。
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