吾郎受け R18
LoveSick
「たくっ、何度も盛りやがって」
鈍く痛む腰を擦りながら、着替えを済ませカバンを掴む。
「なんだよ、もっとゆっくりして行けばいいのに」
暢気にソファに座り、長い足を組んでジュニアが呟く。
「お前の親父と約束してるって、昨日言ったじゃねぇか。てめぇのおかげで約束の時間に遅刻しそうなんだよっ」
キッと睨みつけた視線を軽く流し、「そう言えば、そうだったな」と肩を竦める。
全く、本当ならもうとっくにギブソンの家に着いてるはずだったのに。
朝っぱらからコイツが盛るからギリギリになっちまった。
「じゃぁ、俺もう行くからな」
「あ、ちょっと待て」
焦って自転車に跨った俺を、何故か呼び止めるジュニア。
たくっ、急いでるってのになんなんだよ。
「コレを、親父に渡してくれないか?」
「あ? なんだよ、コレ」
すっと差し出された紙袋にはテープが一本。
「前に親父に頼まれてたんだよ。 ついでだし、いいだろ?」
そう言って、俺のカバンにテープを押し込む。
「まぁそれくらいなら……」
「そっか、よろしくな♪」
カバンを閉めると、ヒラヒラと手を振るジュニアの家を後にした。
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