知らない間に頬に一筋の涙が伝う。
「なんで泣いてんだよ。寿」
いつの間に気がついたのか、吾郎君が目を開けて僕を不思議そうに見ていた。
「泣くなよ……寿」
そう言ってあの時と同じように僕の頭を撫でる。
「怒って……ないのかい?」
「はぁ? なんで俺が寿を怒んなきゃいけねぇんだよ」
吾郎君の言葉に僕は目を丸くした。
だって、もう嫌われて話もしてくれないんじゃないかって思ってたから。
「僕無理やり君を抱いたんだよ!?」
僕の言葉に、吾郎君はのっそりと起き上がって後ろ髪をかいた。
「何言ってんだ。俺は自分の意思でお前に抱かれたんだ。無理やりじゃねぇよ」
そう言って頬を染める。
堪らず僕は吾郎君を抱きしめていた。
その日から僕たちは幼馴染でも友達でもなくなった。
一点の曇りもなかった太陽に、僕は影を落とした。
だけど、そんなの彼は全然気にしてなくって真夏のようなまぶしい光のなかに、僕だけに見せる優しい穏やかな笑顔を見せてくれるようになった。
そう……春の日差しのように僕を包み込んでくれる。
僕だけに向けられる太陽はいつまでも暖かくて何度も僕の手をすり抜けていった君はずっと側にいてくれる。
手を伸ばせばすぐそこに君がいる。
やっぱり君は僕の太陽だ。
新しく見つけた恋人同士という僕たちの道。
お互いに手を繋ぎいつまでもいっしょに歩いてゆこう。
そう心に誓い僕は吾郎君の手をギュッと握り締めた。
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