「――あ……っはぁっ」
不意に、艶っぽい声が壁越しに聞こえ二人はピキッと凍りついた。
見てはいけないと思いつつこんなところで誰がヤッているのかと好奇心も手伝ってドアの隙間からこっそりと覗き込む。
「あンっもう……止めろって眉村ぁ……っ」
その声の主は薬師寺で、きつい三白眼をキュッと閉じて頬を紅潮させている姿が見えた。
その彼に覆いかぶさるようにして眉村の姿を捉える。
見てはイケナイ他人の情事を目撃してしまい吾郎の心臓はバクバクと早鐘を打って、耳の横で彼らの息づかいが聞こえるような錯覚を起す。
自然に自分の身体が熱くなるのを感じ身動きもとれずに息をするのも憚れるほど緊張していた。
(やべぇ。勃っちまった)
中の二人の行為を目の当たりにして、思わず興奮してしまい身体が反応をおこす。
それを寿也に知れてはマズイと思ったが身体を起しかけたその時ふと、寿也と目が合って飛び上がらんばかりに驚いた。
鼓動はさらに速くなり視線をそらすことも目を瞑ることも出来ずに、ゴクリと喉をならす。
「吾郎君……僕、シタくなっちゃった」
「え!?」
言うが早いか腕を強引に引き寄せられ肩を抱かれて唇を塞がれた。
貪欲に吸い付かれビクッと身体が震える。
「ん……ぅっ」
そのまま机の上に押し倒されて、首筋に舌を這わされながら左手はシャツの中をまさぐり右手でズボンの上からツツツと形をなぞられてそれだけで背筋がゾクゾクとするような甘い痺れが沸き起こる。
前/ススム