「やぁ・・・・久しぶり」
「お前、来るなら来るって言えよな」
屈託の無い笑顔で近づいてくる君。
君のその笑顔は、今の僕には眩しすぎて嫌悪感すら覚える。
こんなに近くにいるのに・・・今の君は遠いところにいるような気がして・・・
僕だけがあの頃のまま取り残されてしまったような気がする。
自分の中の醜い感情が沸々と僕の心を蝕んでいく。
どうせあの頃に戻れないのならいっそとことん嫌われてしまおうか。
そんな考えが頭をよぎる。
「・・・・・・・寿?」
ハッと気が付くと吾郎君が目の前にいて相変わらず無垢な瞳で見つめていた。
そんな目で見ないで欲しい。
今の僕は穢れているから。
きっと君をメチャクチャにしてしまうだろう。
「なんかあったのか?」
何も知らない吾郎君は、なおも僕に話しかけてくる。
「・・・・何も無いよ。・・・・ただ、君と話がしたかっただけさ。」
「そっか・・じゃぁ俺の家来いよ。俺も寿也と話したいこと沢山あっから。」
無邪気にそういうと、仲間と清水さんのところへ事情を話しに行った。
「別によかったのに。これから彼女とデートなんじゃないの?」
「バーカ! 何言ってんだよ・・・んなわけねぇだろ?」
少し恥ずかしそうにそういう吾郎君は昔とあまり変わっていなくて少しだけホッとした。
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