「うん、美味しい」
「・・・そうかよ・・・よかったな」
「なに照れてるんだい?」
「うっせぇよ・・・恥ずかしいに決まってんだろ?」
俺がそういうと、寿也はクスクス笑う。
「吾郎君にも、してあげよっか?」
「いらねぇ」
俺はいらねぇって言ってんのに、寿也は口元にスプーンを運んでくる。
ニコニコしながらチョンチョンとスプーンの先を押し付けてくるから仕方なく口をあけてやった。
カキ氷の冷たい感触とイチゴの甘ったるい密の味が口中に広がってゆく。
もうだいぶ夕方に近づいてきてあんなにたくさん居たやつらも、帰り支度を始めまわりにはほとんど人がいない。
あんまりにも嬉しそうな顔してるから・・・なんか調子狂っちまう。
ふと、海を見たら・・・夕焼けが海に反射してキラキラ光ってすっげぇ綺麗に見えた。
「あ、あのよ・・・寿也・・・・。」
「ん?・・・どうか・・・した?」
きょとんっとした顔で俺を見る。
「・・・イチゴ・・・好きか?」
「好きだよ」
俺の質問が突拍子もないから、寿也のヤツ意味がわかんねぇって顔してやがる。
「今・・キスしたら・・・・イチゴの味するぜ?」
自分でも、何バカな事言ってんだって思ったけど・・・折角の二人っきりだし・・・
そっと肩に凭れると、柔らかな笑みを零しながら俺を引き寄せる。
ゆっくりと唇を塞がれてしばし時が止まる。
「・・・ほんとだ・・・イチゴ味だね」
スッと唇を離して、少し照れたように笑う。
「なぁ・・・寿也・・・」
「・・・・なんだい? 吾郎君・・・」
「・・・・・来年も・・・ここに来ような」
「・・・あぁ。そうしよう」
海に沈む夕日を眺めながら俺はゆっくりと瞳を閉じた。
前/オワリ