「佐藤、悪いが俺の球受けてくれないか?」
眉村が吾郎に話しかけてきた。が、当然自分の事を言われているとは思っていないため素通りしようとする。
「おい、佐藤」
「えっ!?・・あぁ、俺のことか」
肩を叩かれ、ハッとする。
そんな彼の様子に、眉村は首をかしげた。
「今日は、やけにボーっとしてるが、どうかしたのか?」
「なんでも・・・・ない、んだ。気に、しないで」
つい、いつもの口調が出そうになるが、ものすごい形相の寿也に睨まれて、おかしな発音になる。
寿也の大人しいイメージを保つのは思った以上に大変だった。
一方の寿也もかなり苦戦していた。
油断すると、ついいつものような口調になり、みんなを驚かせる。
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