「ぼ・・・僕が・・いる?」
「寒いっ・・寿。布団返せって!」
「ご・・・吾郎君なの・・・!?」
バチッと目が合って、吾郎は目が点になった。
目をゴシゴシとこすり、先ほどの寿也と同じようなリアクションを繰り返す。
「お前、誰だ!?」
「吾郎君・・・なんか、よくわかんないけど、僕達入れ替わっちゃったみた。」
「はぁぁっ!?」
素っ頓狂な声を上げ、目を丸くする。
「とにかく、一度鏡を見ればわかるから」
無理やり彼を起して洗面台へと連れてゆき、その姿を鏡に映す。
「な・・なんで、俺が寿也に・・・!? どういうことなんだ?」
「それが・・僕にもよくわからないんだ。起きたらもう、この姿になってて」
茫然と鏡を見つめている彼に、ため息交じりで答える。
「どうなってんだ?一体」
「さぁ・・・?」
その時、吾郎はふと、あのランプの存在を思い出した。
(まさか・・・、昨日俺が入れ替わってみたらいいかもって思ったりしたからか?)
嫌な予感がして、自分部屋にダッシュし、机の上をみた。
しかし、そこにあるはずのランプはどこにも見当たらず唖然とする。
そうこうしているうちに、朝練の時間が近づいてきた。
「とにかく、せめて今日一日はみんなに気付かれないようにしなくちゃ。わかった?」
「お・・おう」
こうして、二人の長い一日が始まった。
前/ススム