(それにしても、どうやって取るんだよ……コレ)
ベッドに寝転がり、うーんと頭を悩ませる。
確か、童話ではランプをこすればランプの精が出てきたはずだ。
吾郎は、恐る恐るランプの腹の部分をこすってみた。
カランっ
小気味いい金属音と共に、ランプは吾郎の手から離れ、床に落ちた。
けれどもそれっきり、そこから何か出てくると言う事もなく、首をかしげる。
(手から外れりゃ、ただのランプじゃねぇか)
色々悩んだが、とりあえず机の上に飾っておくことにした。
「あれ、吾郎君。スパイクはもう買ってきたの?」
ちょうどそこに、寿也が戻ってきてにこやかに話しかけてくる。
「買ってきたのは、いいんだけどよー、変なオマケがついてきちまって」
「オマケ? なんだい、それ?」
「これだよ、コレ。願い事が叶うだかなんだか知らねぇけど」
吾郎が、ランプに触れて、寿也に見せると、彼は不思議そうな顔で吾郎と手の中にあるものを見比べる。
「そこに、何かあるのかい? 僕には何も見えないんだけど」
「は? 何言ってんだよ!? ここにちゃんとあるだろ、黒いランプが! 触ってみろよ」
寿也がランプに触れようとすると、透けてそのまま吾郎の手にタッチする。
「あ、あれ?」
「やっぱり、何も無いじゃないか。ちょっと疲れてるんじゃないかな?」
(お、俺以外のやつには、見えないし触れないのか)
訝しげな表情をする寿也に、吾郎は軽いめまいを起した。
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