なぜか手にぴったりとくっついて離れない。
振っても、ぶつけてみても、引っ張ってもありとあらゆる方法を試したが、外れず吾郎は男を怒鳴りつけた。
「なんだよコレ!! 俺、買うつもりなんかねぇのに、接着剤でも付けてあったのか!? 取れないじゃねぇか!!」
男は驚いて一度話を中断したものの、笑顔で答える。
「お客さん、そのランプはね、主を自分で選ぶんです」
「はぁ? 何言ってんだよおっさん! 冗談は止めて、コレ外せよ!」
「だから、先ほどから言ってるじゃありませんか……そのランプはあなたを新しい主として認めたんですよ」
「誰がそんな、御伽話信じるってんだ! 何でもいいから離しやがれ!」
いい加減イライラしてきて今も殴りかかりそうな彼に、男は平然と立ち向かう。
「信じてもらわなくても結構ですがそれはもう、あなたのものです。お代はいりませんから、どうぞ差し上げます」
「いや、いらねーっての!」
吾郎の話を一切無視して、男は店内へと姿を消した。
慌てて吾郎も追いかけたが、なぜか彼の姿を見つけることができずに、茫然とする。
「おいおい……これどうすんだよ」
途方にくれて、散々悩んだ挙句結局はそののまま持って帰ってきてしまった。
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