「よく考えたら、別に聞く必要なかったよな」
「何が?」
お互いに、はぁはぁと荒い息を繰り返し、ベッドに凭れながら、薬師寺の言葉に首をかしげる。
「だから、中に出していいかって。女だったら絶対確認すんだろ?」
「……つか、薬師寺ナマでヤってたのかよ。うっわ最悪……高校生パパしゃれになんねぇ」
「ははっ昔の話だ。あの頃は俺も若かったしな」
「……親父くせぇな、お前」
「てめぇっ、同級生に親父はねぇだろ!?」
気だるい感覚に浸りながら会話をしていると、コンコンと部屋をノックする音が聞こえてきた。
「吾郎君。遊びに来たよ」
寿也の声がする。
「やっべ俺、寿也に部屋のキー渡してた」
「はぁあっ!? って、早く着替えろよ! バレたら俺が殺されるっつーの!!」
わたわたと大慌てで、着替えを済ませるのと寿也が入ってくるのはほぼ同時で、不穏空気が漂っていた。
「なんだ居るんなら、なんで直ぐに出てくれなかったんだよ」
「えっ、いやぁちょうど今立て込んでて」
寿也の目が鋭く光る。
「……吾郎君、なぁんでシャツを裏表逆に着てるのかなぁ!?」
「えっ!?」
(このバカ……ドジ踏みやがって)
薬師寺がはぁっと息を吐いたのを見逃さず、寿也はにっこり笑って言った。
「君達は、ココで何をしてたのかなぁ?」
「あー、えっと」
「どうやら、ここに眉村も呼んだ方がよさそうだね」
「はっ!? 止めろよ佐藤!」
眉村の単語が出たとたん彼の顔色がさっと青ざめるのを寿也が見逃すはずもなく、結局数分後には眉村も呼ばれた。
「悪いのは茂野なのに……なんで俺まで」
「問答無用だよ、薬師寺」
「寿、マジでゴメン!! 許して?」
「そんな可愛い顔してもダメ ココで何をしてたか、みっちりと聞かせてもらうからね。」
悪魔のような天使の微笑みに二人は思わず引きつり笑い。
この後吾郎と薬師寺は二人にお仕置きされるのだった。
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