高校卒業後、俺達はプロになった。
2月から既にキャンプが始まって、それっきり俺達は逢えないまま。
連絡を取りあう暇もなく、忙しい毎日を送っていた。
気楽な同級生だらけの寮生活から上下関係の厳しい大人の世界へ。
気を使いすぎて、与えられた自分の部屋へ戻るとすぐさまベッドに倒れこむ。
最後に俺が眉村に会ったのは・・・いつだ?
テレビでマウンドに上がってんのは見たけど、直接会ってねぇ。
勝利投手になって、あの仏頂面で鼻をヒクヒクさせながらお立ち台に立ってインタビュー受けてたっけ。
久しぶりに見た顔は、俺だけに向けられてるわけじゃない。
それがなんとなく悔しかった。
俺から逢いたいなんて電話すんのは・・・俺だけアイツを求めてるみたいで癪に障る。
たまには電話くらいよこせよ。バーカ。
高校卒業のときにお互いに交換した制服の第二ボタン。
それを見るたびに逢いたくて仕方がなくなる。
そういや俺達の関係って・・・・まだ付き合ってるって言うのか?
それとも自然消滅・・・。
俺の中ではアイツへの気持ちは変わらない。
でも、アイツは?
眉村はどうなんだ?
連絡がないのは他に好きな女でも出来たとか。
自然と気分も暗くなる。
最初は彼女が出来たらただの友人に戻って祝ってやろうって、俺にもいつか彼女が出来てあの頃はお互い若かったなって笑って言えると思ってたのに。
現実はそんな甘いもんじゃなくって・・・。
俺、未だにアイツを忘れられない。
ファンだって言ってくれる女の子見てもなんにも感じなくなっちまった。
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