「佐藤・・・ちょっといいか?」
昼休み、俺は佐藤に声をかけた。
最近、俺は少し悩み事があって、それを相談するためだ。
「なに・・・僕に何の用?」
黙って人気の無い屋上に辿り着くと、不思議そうな顔をしている佐藤に、俺の心のうちを打ち明けた。
俺の悩みというのは他でもないアイツの事だ。
いつも、俺のほうから求めてばかりで、今まで一度も自分から誘ってきてくれたことが無い。
だから、少しばかり不安なんだ。
本当に、薬師寺は俺のことが好きなのか・・・と。
好きだという言葉も、あまり聞いたことが無い。
我慢できずに押し倒すことはあっても、いつも嫌がってばかりで、アイツから求めてくる事は無い。
佐藤なら・・・きっとなにかいい知恵を持っているに違いない。
そう思っての相談だった。
「・・・・つまり、眉村は薬師寺に自分からシたいって言わせたいって事?」
さすが、佐藤!
理解力がある。
俺のつたない説明で、きちんとわかってくれた。
「・・・どうしたらいいか、教えてくれ。」
「・・・・・・うーん、そうだね・・・一番簡単な方法があるけど・・・・。」
あまりオススメできないよ。
と佐藤は言う。
「何でもいい。教えてくれ!」
俺が頼み込むと、佐藤がこっそりと耳打ちした。
その方法とはズバリ!薬師寺のほうから言ってくるまで完全に放置すること。
「・・・つまり、俺達に禁欲しろって言ってるんだな?」
「え?・・別に禁欲じゃないよ。一人でヌけば全然問題ないだろ?」
「・・・・・・・・・・・。」
「ま、やるかやらないかは、君の勝手だし・・・。」
頑張ってみたら?
そう言って、佐藤は屋上を後にした。
俺は、その日から禁欲計画を実行することに決めた。
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