「――ぁ〜、腹減った。なんか食ってこうぜ?」
「え〜、時間ねぇよ」
ドアの向こうに人の気配。
一気に身体が強張った。
だがしかし……。
一瞬、動きを止めた眉村があろう事か再び律動を開始した。
「なっ!? バカッ! 何考えてるんだ!」
「静かにしろ……見付かりたいのか?」
「っ!」
耳元で囁かれ慌てて口をつぐむ。
薄いドア一枚隔てた向こうに誰か居るのに、眉村は構わず打ち付けてくる。
「ぁっ……ぁっ」
カタカタっとドアが軋み、外に居る奴らの話声がぴたりと止まった。
「なぁ……この音ってもしかして……」
「ああ……すげえな。 上から覗いて見ようか」
なんて声が聞こえてくる。
「ん……っ……ふ……! ぁっぁっ」
見られそうになってるのはわかってる筈なのに眉村は手を緩める事なくわざと俺の感じる場所ばかりを攻め立てる。
「やばいって……ああっ眉村やめっ」
「見られそうになってるのにイキそうなのか? 淫乱だな」
「っ……バカッ! ふあっ」
自身を緩く扱きながら、胸の飾りを弄られ意識が飛びそうになる。
恥ずかしくて仕方ないのに急激に高まる射精感。
「ん……っんん――っ!」
「おい! 早くしないとバスが行っちまう!」
「ちぇっ、仕方ないな」
一気に静まり返るトイレ内。
ハアハアと小さな息遣いだけが響いていた。
「くくっ……イッた顔見られずに済んで良かったな」
「良いわけないだろっ!!」
面白いモノを見たとばかりに鼻をヒクつかせる眉村。
「まぁ、たまにはこう言うスリルを味わうのも悪くないだろ」
「……っ! そんなにスリルを味わいたいなら一人でヤってろ! 馬鹿!!!」
ガツンと鈍い音がして、俺の拳が顎にヒット。
うずくまる眉村を置いて帰路に着いた。
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