眉薬 他

LoveSick


眉村SIDE

ベッドの軋む音と、薬師寺の声。

それは俺を奮い立たせるにはもってこいのBGMになる。

今目の前に枕で顔を覆った薬師寺が居て、できるだけ声を押し殺しているようだ。

チッせっかくの感じている顔が見れないじゃないか。

俺が枕を剥ぎ取ると、驚いた顔をした。

顔を真っ赤に染めて見るなと俺に言っているようだった。

「恥ずかしいとかそんなもの気にならなくしてやる」

そう言って、激しく突き上げると、だんだん声が洩れてきた。

一度タガが外れると、後は止まらなくなるタイプだから何もかも忘れて俺だけのことに集中すればいい。

「あっあっ健! は……ンっ」

何度か、俺の名前を呼ぶ。

薬師寺は夢中になると俺の下の名前で呼ぶ癖がある。

ソノ声はとても情熱的で、俺は眩暈がした。

お互いに夢中になって、俺もとにかく薬師寺のことだけ考えながら思いの丈を放出した。


「久しぶりに乱れてたな」

「うっせ、黙ってろ」

行為後、ベッドでうつぶせになり枕に顔を埋める薬師寺を俺はいつも可愛いと思う。

「あっちぃ眉村、窓開けろ!」

相変わらず、人使いは荒いが。

全く。ベッドの上ではあんなに素直なのに……なんで普段はこんなに冷たいのか。

俺はため息をつきながら、言われたとおりに窓を開けた。

再び空気が動き出し、すーっと全身の熱さが引いてゆく。

「お前なんだかんだ言って、好きなんだな」

「は? 何が?」

「セックス」

「!!!!!」

俺の言葉に、薬師寺はこれでもかと言うほど目を見開いた。

「もっと、オブラートに言えよ、このタコ!!!!」

俺は力いっぱい枕で殴られて、その勢いでベッドの角に足をぶつけた。

なんか俺、変なこと言ったか??

アイツは俺の考えてることがよくわからんと言っているが、俺にしてみればお前のほうがよくわからん。

薬師寺が、もし女で俺と結婚したら、絶対鬼嫁になるに違いない。



/ススム





人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -