ココで、口を挟んでもいいのだろうか?
それとも、眉村が言うのを期待するか・・・?
眉村ならきっとこの場でキスしそうな気もする。
いろんな思いが頭をよぎる。
「・・コホンっ・・・・水をさすようで悪いんだけど、ラブラブしたいなら・・・自分達の部屋でしてくれないかな?」
「!!!!」
こんなところでラブラブ光線を出されては堪らないとばかりに寿也が口を挟むと、薬師寺は、最初わけがわからないといった様子で目を白黒させていたが、自分の置かれている状況を理解し、見る見るうちに真っ赤になった。
「・・・・っ、ってゆーか・・・・人がいるんならキスなんかするんじゃねぇよ。バカァ!!」
ブンッっと小気味いい音を立てて投げられた枕は、今日はうまく交わされ吾郎たちの側に飛んできた。
うまくよけたつもりの眉村だったが、追い討ちをかけるように決まった薬師寺の顔面パンチに、ぐらっとはしごを踏み外し滑り落ちた。
「おーい、大丈夫眉村?」
「相変わらず、容赦ねぇな、薬師寺は・・・」
「愛の表現方法は人それぞれだからね」
頭を打って放心状態の眉村と顔を真っ赤にしている薬師寺を見比べながら、寿也はゆるく息を吐いた。
「とにかくさ・・・お迎えが来たんだから、早く降りてきなよ」
「わかってるよ。んなことは・・・。ほら、さっさと起きろよ。置いてくぞ!!」
「邪魔したな。二人とも。」
やっと立ち直った眉村は、恥ずかしさを隠すために足早に去っていた恋人を慌てて追って部屋を出て行ってしまった。
「・・・・なんか、すごく貴重なもん見た気がするな」
「ホントだね。毎朝ああやって起こしてもらってるのかな?」
「うっわ・・・。俺達よりラブラブ??」
嵐が去って行ったそのドアを二人は呆然と眺めていた。
「僕達も、負けないくらいラブラブしなきゃね♪」
「えっ!? ちょっ・・・無理っ!! 今日は腰が立たないからっカンベン!!!」
「・・・・・・・それ・・・・どういう意味かなぁ!?」
抱きついた瞬間、顔を思いっきり背けて抵抗してくる吾郎のセリフに、寿也は異常に反応した。
その、唸るような声に、自分はとんでもない失言を犯してしまったと気付いたが時既に遅し・・・。
まっ黒な笑みを浮かべた寿也に、吾郎は散々追及されるハメになった。
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