眉薬 他
LoveSick
二人が行為に及ぼうとしているちょうどその頃、寿也は、さっきからそわそわとしている彼に呆れたように声をかけた。
「あのさ、そんなに気になるんだったら、なんで部屋変わって欲しいなんていったのさ」
「べっ・・別に・・・気になってるわけじゃねぇ」
「ふーん・・・消灯済んでから落ち着かないのは、薬師寺のクセ?」
さきほどから、立ったり、座ったりウロウロしている彼はまるで動物園の熊のようで、寿也は失笑した。
それを指摘され、薬師寺は言葉に詰まりカァッと頬を染めた。
「眉村がいなくって寂しいんだろ?・・・早く部屋に戻りなよ」
「さ・・寂しいわけ、ないだろっ! 変な事いうな!!」
「だって、顔にそう書いてあるよ?」
「書いてあるわけない!」
そういうと、薬師寺ははしごを上り吾郎の布団へ潜り込んだ。
「・・・・・本当に、薬師寺って素直じゃないんだから」
君が戻るって言ってくれないと、吾郎君が帰ってこないんだよ。
そう呟いて、寿也も布団に入り眠りに付いた。
まさか、互いの恋人が身体を重ねているとは夢にも思っていなかった。
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