けれど、完璧に飲み干してしまったのを確認し心の中でほくそえむ。
「???」
薬師寺は相変わらず首をかしげていた。
「ほら、部屋に戻るぞ」
「あ・・ああ」
眉村に促され部屋に去ってゆく二人のコレからを想像し、寿也はクッと笑った。
「随分と機嫌がいいな。なんかあったのか寿?」
「ううん。なんでもないよ♪」
自然と緩む口元に、吾郎は何かあるに違いないと感じたが、追求しても吐くようなタイプではないため、そのまま彼の様子を伺っていた。
部屋に戻った眉村たちはソファに座りテレビを見ていた。
眉村は、さっきから何もいわず俯いたままの彼にチラリと視線を送った。
頬がほんの少し赤く染まり、僅かに肩で息をしているようだ。
「・・・どうか、したのか?」
「・・・っな、なんでもねぇっ」
声をかけると、それだけで身体をびくつかせる。
テレビの軽快な音楽が流れる中、薬師寺は困惑していた。
先ほどから身体が熱を持ってその熱を抑えきれずに持て余していた。
眉村の声を聞いただけでドキドキが止まらずに、息も荒くなる。
(どうしたんだよ・・・俺・・・・絶対、変だ・・・)
とりあえず、横になればなんとか治まるだろう。
そう思って立ち上がり、ベッドに掛ける。
「眉村、悪い。ちょっと横になっていいか?」
「ああ。別に構わんが、具合でも悪いのか?」
「っ、別に、そんなんじゃない」
「・・・・・?」
ぷいっとそっぽを向いて眉村に背を向ける。
ところが、身体の熱は収まるどころか全身が火照って体の芯がだんだんと疼いて薬師寺は熱く息を洩らした。
別に、欲求不満ではないはずなのにシたくてシたくてたまらない。
そんな自分に、動揺していた。
普段は無理やりにでも襲いかかってくる眉村だが、こういう日に限って何もしてこない。
手を伸ばせばすぐそこに彼が座っていて、とうとう自分の欲に耐え切れず服の裾を引っ張った。
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