薬師寺SIDE
ったく、茂野なんかに、相談するんじゃなかったぜ。
おかげで俺は、かかなくていい恥までかいて、先生にまで怒られて・・・。
学校で暴れたことは2軍監督の耳にまで入ってこっぴどく叱られた。
「理由はなんなの?」
って、言えるわけねぇだろ?
結局、俺が監督室から開放されたのは消灯済んでから。
重い気分で自分の部屋のドアを開くと、眉村がベッドに腰掛けてCDを聞いていた。
「戻ったのか・・」
「全く・・とんだ災難だったぜ」
自然に出たため息に苦笑しながら、肩に掛けていた荷物を机の横に置く。
それとほぼ同時に、腕を引かれて、バランスを崩し気が付けば眉村に覆いかぶさるような形で抱きしめられてしまった。
「離せッ・・・」
「・・・・・・・」
ぎゅっと強い力で抱きしめられる。
耳のすぐ横で眉村の鼓動が聞こえて、すごく早くドキドキしていることがわかった。
「・・・好きだ」
「な、なんだ・・・突然」
甘くて低い声色で囁かれ、自然と顔が赤くなる。
いつも・・・そんなこと言わないから、俺まですげぇドキドキする。
ちょうど、俺の太ももの辺りにモノが当たって、熱を伝えてくる。
長い長い沈黙。
細い瞳に鋭さはなくて、ただジッと俺を熱っぽい瞳でまっすぐに見つめてくる。
額と額が触れそうで触れない距離に眉村の顔があって、俺は自分から首に腕を回して口付けた。
ほんの、触れるだけのつもりが、だんだんと深く吸い上げられて、息苦しくなって、眉村の胸をどんどんと叩く。
「ん・・・は・・・ぁっ」
「すまない。苦しかったか?」
「苦しいに・・・決まってんだろ!」
「・・・・薬師寺。抱きたいんだ。いいか?」
「・・・っ!」
いちいち聞いてんじゃ・・・ねぇっ! と言おうとして、ふとカレンダーが目に付いた。
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