「おーい、薬師寺生きてる?」
ぐったりとして突っ伏したままの彼を何事も無かったように寿也が覗き込む。
「……」
顔を上げる気力も無く、力なく寿也を睨みつけた。
(誰のせいだと思ってるんだっ!)
文句を言ってやりたかったが喘ぎすぎて声も出ない。
「うっわ、怒ってるね、その顔。ま、そんな顔が出来るなら大丈夫そうだね」
悪びれた様子も無く寿也が笑う。
「ま、楽しかったし。またヤろうよ♪」
「だな♪」
「〜〜〜っ!」
(誰が、お前らなんかと! 二度とするかぁ!!)
手をヒラヒラさせて何事も無かったかのように部室を後にする二人。
残った室内に気まずい空気が流れる。
「……」
「大丈夫か?」
心配そうに手を差し伸べてきた眉村の手を思いっきりひっぱたく。
「もう二度と俺に触るな変態!!」
何とか声を絞り出し、それだけ言うと着替えもそこそこに部室を飛び出した。
もう二度と顔も見たくない。
心の底からそう思った。
適当に着替えを済ませ向かった先は隣の米倉の部屋。
「悪いが部屋を替わってくれ」
「は?」
「いいから。俺はもうあの部屋には居たくない」
意味がわからずきょとんとする米倉を強引に言いくるめ、その日から薬師寺は二度と三人に近づかなくなった。
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