薬師寺SIDE
眉村が助けに来てくれた。
俺は、その事実が何よりも嬉しかった。
榎本先輩がどういう気持ちで俺に襲い掛かってきたのかはわからねぇが、そんなことどうでもよくなるくらい嬉しかった。
部屋に戻ると、ドアを閉めた瞬間にまた抱きしめられて俺はドキリとした。
今まで、こんなに強く抱きしめられた事なかったから。
「け・・・健・・?」
「お前が・・・榎本先輩に襲われてるのを見て・・生きた心地がしなかった。」
何もひどい事されてないか?
今まで聴いたこともないくらいの優しい声で尋ねられ、俺は黙って頷いた。
ドキドキドキ・・・
眉村の鼓動がありえないくらい早くなっているのがわかる。
「歩・・・・。」
頬を.そっと撫でられ名前を呼ばれただけなのに、自然と頬が熱くなる。
顔を上げると、今まで見た事のないくらい切なげに眉をよせてジッと見つめられて俺の鼓動も早くなる。
「好きだ・・・・。誰にも渡したくない。」
熱くそういわれ、貪るように俺の唇を塞ぐ。
息もできないほどの口付けは、とても熱く、初めて唇を重ねたあの日よりドキドキした。
「あ・・・・ふ・・っ・・」
歯列をなぞり、角度を変えて、何度も何度も口付けられて、息もできないほどに深く口付けられる。
情熱的なそのキスは、俺をそれだけ思ってくれている証。
それがわかって、俺は眉村の首に腕を回した。
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