「・・・・こんなこと、俺が誰にでもするわけないだろ?」
やってしまって、なんとなく恥ずかしくなった俺は眉村に背を向けた。
扇風機のほうに顔を向けて、火照った熱を冷まそうとする。
「はー・・・風が冷たくて気もちいいぞ。・・・・・まゆむ・・・っ!!」
突然後ろから抱きしめられて、俺はドキッとした。
鼓動がドッキドッキと早鐘を打ち始める。
「バカッ・・・離せっ!」
「好きだ。歩」
耳元で声がする。
囁かれたその声が、じわりじわりと鼓膜を伝わり、さらに鼓動が早くなった。
首筋をぺロッと舐められ、一気に身体が強張った。
こんなとこ誰かに見られたら・・・非常に困る。
「ちょっと待て!・・・こんな所で盛ってんじゃない!」
丁度、腰の辺りにヤツのブツが当たってる。
今にも襲われそうな勢いに、俺は何とかヤツを引き離そうと必死だった。
「バカッ・・・止めろっ!・・こんなとこでヤりやがったら・・・・絶対部屋、変えてもらうからな!!」
「そう言って、変えてもらった試しないだろ?。」
「うっ・・煩い!とにかく・・・ダメだって」
キュッと吸い付かれて、俺の身体は意思に反してすぐに反応してしまう。
ゾクッとした甘い痺れに、思わず腰が引けてしまった。
「だ・・・ダメだって・・・っ。こんなところじゃ・・・ぁっ誰か来たら・・困るっ」
「安心しろ。さっき鍵は閉めたから。」
「そ・・そういう、問題じゃ・・・ぁ、ねぇんだよっ」
上手く力が入らずに、あっという間に長いすに押し倒されて、身体が熱くなった。
「そんなに、俺に抱かれるのがイヤなのか?」
「はぁ?」
突然のヤツの突拍子もない言葉に俺は思わず間の抜けた声を上げた。
全く、いきなり何を言い出すんだ。
眉村は、まじめな顔で俺を見詰めている。
「イヤなのか?」
・・・・・本当にイヤなら、もうとっくにお前との関係は終わってるっつーの!!
と、言ってやりたかったが、それじゃぁ、まるで俺がヤるのが好きって認めてるようなもんだから、喉元まで出掛かっていた言葉を飲み込んだ。
「・・・いつも、俺ばかりががっついてるから、知りたいんだ。本当のお前の気持ちを。そんなに抱かれるのが嫌いか?」
「・・・・嫌いじゃ・・・ない。」
こういう雰囲気に持ち込まれるとどうも苦手なんだよなぁ、俺。
言っちゃダメだってわかってたのに、雰囲気にすっかり流されて、つい言っちまった。
「嫌いじゃないけど・・・ココじゃイヤなんだよッ」
こんな、明るいところじゃ恥ずかしいし、第一落ち着かない。
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