「おい、体中真っ赤だぞ。そろそろあがったほうがいいんじゃないのか?」
腰にタオルを巻いて先に上がってた眉村が心配して俺を見ている。
うるせぇよ・・・全てお前のせいなんだ。
あがろうとして立ち上がった瞬間、俺の目の前の景色がぐるぐると回り始めた。
ぐるぐるぐるぐる・・・・。
「・・オイ!しっかりしろ!!」
目が回って、遠くに眉村の声を聞きながら、俺は意識を手放した。
気が付くと、そこは脱衣所の長いすの上だった。
扇風機が俺に向けて当てられていてそよそよと気持ちがいい。
近くに眉村の姿はなくて、とりあえず下着だけ履かせてくれたのか、下着一枚の格好で横たわっていた。
あーぁ、情けねぇ・・・。
風呂場でぶっ倒れるなんて・・・。
そういや、あいつはどこにいったんだ?
どうせ、寝かせるなら部屋で寝かせてくれりゃいいのに。
扇風機の風に当たりながら、徐々にはっきりとしてゆく意識の中でそう思う。
ガラッ。
突然、脱衣所のドアが開いて眉村が戻ってきた。
「気が付いたのか。」
「・・・・・・・・まぁな。」
「すまなかった。まさか、倒れるまで我慢していたとは思わなかったんだ。」
申し訳なさそうに俯く眉村。
そうだ!・・・思い出してきたぜ・・・全部あいつが悪いんだ。
「喉・・渇いただろ?これ買ってきたから。」
ひゅーんと、円を描いて俺の手元にポカリが飛んできた。
ひんやり冷たい感触に、なんとなくホッとする。
「お前さぁ・・・なんでいっつも、ちょっかい出して来るんだ?」
俺の問いに眉村は答えなかった。
なんだ、無視かよ。
「ただ、面白がってるだけなら、俺・・・怒るぞ。」
「違う。」
「じゃぁ・・なんだ?」
「・・・・・不安なんだ。」
はぁ?
不安??
一体何が不安なんだよ??
それと風呂でセクハラすんのって、どう繋がってるんだ?
相変わらず、主語のねぇ話しっぷりに、俺は首をかしげる。
「意味わからねぇよ」
「・・・・・・。お前が、米倉と仲良く話してると・・・いつかアイツに取られるんじゃないかと・・・。」
意外な眉村の答えに俺は絶句してしまった。
俺が・・・・?
米倉と・・・!?
冗談じゃねぇっ
「なにバカなこと言ってんだよ。アイツはただの友達だよ・・・。」
まったく、相変わらず突拍子もない考えをするやつだ。
俺が、眉村以外のヤツに特別な感情がねぇことくらい、わかれよな。
たく、つまらない嫉妬しやがって。
「いい迷惑だよ・・・まったく。」
「すまん。」
シュンとうなだれているアイツがなんとなく小さく見えて、俺はヤツを引き寄せてその頬にちゅっと軽くキスをした。
「!!」
前/ススム