<薬師寺SIDE>
何やってんだ・・・俺。
いくら割り切れば平気って言われても・・・ヤッちまった事実はかわらねぇ。
結局のところ全然割り切れてねぇし。
なんか、茂野と眉村に悪いつーか・・・。
好きでもないのにって言う罪悪感が2日たった今も残ってる。
もうすぐ、眉村が戻ってくるから平常心でいようって思っても、どうしてもどぎまぎしてしまいそうだ。
俺、あんまりこういう嘘上手いほうじゃないんだよなぁ。
いろんな事を考えてるうちに、マジで眉村が戻ってきた。
「よ・・・よぉ、ご苦労さん」
「……」
約1週間ぶりの再会に、ドキッとする。
嬉しいってわけじゃなくて、どうしようって気持ちのが強いな。
でも、眉村は何も言わずに俺の事をジーッと見つめている。
何か態度に出てたか???
沈黙ほど恐ろしいものはねぇ。
疚しい気持ちがあるからなお更だ。
眉間に深いしわがあって、なんとなく怒ってるっぽい眉村が異常に恐ろしく見える。
「お・・俺、今から風呂行ってくる――!」
この重たい空気に耐えれなくって、部屋を出ようとして手首を掴まれた。
あの冷たい瞳で見つめられて、背筋に冷たい汗が伝う。
「離せ・・・」
「ダメだ。お前に話があるからな。風呂は、話を聞いた後にしろ」
低い聞きなれた声が今日はやけに耳につく。
ひょっとして・・・俺の態度で気が付いたのか。
眉村にしては勘がいいな。
ぎりぎりっと痛いくらいに腕を掴まれて、とうとう俺は観念した。
「わかった、わかったから・・・腕を離せ」
「・・・・・・・・・」
それから、顎で俺にベッドに行けという。
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