妊娠? 俺の腹にガキがいるってか???
信じられねぇ・・・。
と、言うことは当然・・・アイツの子だよなぁ・・・
あの後、何処をどうやって帰って来たのか・・ほとんど記憶のないまま、気が付けば自分の部屋に居た。
さっき言われた事がどうしても信じられなくて、何度も腹に手を当てる。
当然の事だけど、腹は昨日と同じペタンコのまま・・。
何も変わらない。
表面上は変わらないのに・・・俺の中には新しい命が宿っていると言う。
全然実感ねぇし・・いきなりおめでたですよって言われて、納得できるわけねぇって。
俺・・・男だぜ?
ちゃんと付いてるモンついてるし・・・。
「・・・・どうした? 浮かない顔して・・・。」
「あ・・・・!」
気が付くと目の前にアイツが居て、不思議そうに俺を見つめていた。
「なんでもねぇ・・・。」
「・・・・?」
とてもじゃねぇが・・・言えねぇ。
自分でもまだ半信半疑なんだ・・信じてくれるわけない。
俺が俯いたまま、目を合わせられないで居ると、眉村が隣に腰掛けてきた。
「病院・・行ったんだろ? そんなに悪かったのか?」
「い、いや・・別に・・・軽い風邪だって・・。」
「そうか・・・。」
それっきり、ヤツが追求してくることは無かった。
いつも慣れているハズの沈黙も、今日の俺にはとてつもなく重く感じる。
何気なく付けたテレビも、虚しく流れるだけで、全くと言っていいほど頭に入ってこない。
「・・・・・・・歩・・・。元気ないな」
「・・・・っ耳元でしゃべるんじゃねぇよ・・バカっ・・」
そっと、囁かれた声にすら過敏に反応してしまう自分が、なんとなく可笑しい。
肩を抱かれて引き寄せられると有り得ないほど鼓動が早くなった。
「フッ・・・やはり、俺の気のせいか・・。」
クスッと笑われ、冷たい手が頬に触れる。
顎を持ち上げられ視線が絡む。
高鳴る鼓動。 鋭い目で見つめられ、堪らずギュッと目を瞑る。
少しずつ近づいてくる気配に身を硬くしているとふぅっと大きなため息が聞こえてきた。
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