あー・・気持ち悪い・・・。
ここ数日、俺は原因不明の風邪に苛まれていた。
咳も高い熱もないのに、とにかく身体がだるい。
やっぱ病院行ったほうがいいのか?
腹は減ってるはずなのに、ホカホカと湯気がたってるのを見るだけで気分が悪くなる。
「おい、全然食べてないじゃないか。・・・何処か具合でも悪いのか?」
「あぁ・・大したことじゃねぇよ。ちょっと気分がすぐれないだけだから。」
「何っ!?」
俺がそう言うと、眉村の眉がピクリと動いた。
そのまま何か言いたげに、ジッと俺を見つめている。
何だよ・・一体・・・。
「・・・そのジュースはどうしたんだ?」
「は?」
いきなり手に持っていたジュースの話題になって、思わず間の抜けた声が洩れる。
相変わらず、何考えてるのかわからんヤツだ。
「これか? これは・・さっき自販機で買ったんだ。 お前も飲みたいのか?」
目の前に差し出すとフルフルと首を振った。
なんだよ。 美味いのに・・・。
口を近付けると仄かにレモンの爽やかな香りがする。
今まではコーヒーとか紅茶ばっかだったが、一度飲みだしたら止まらなくなっちまった。
特に気分が悪い時に飲むと、不思議とそれが治まった。
ふと気が付くと、眉村がなにやらブツブツと小声で呟いていた。
一体何を言っているのかとそっと聞き耳を立てる。
「・・・・食欲不振に、すっぱいもの・・・間違いない・・・ブツブツ。」
あ? 何が間違いないんだ?
なにやら真剣に考え事をしているらしい眉村は眉間に皺を寄せていたかと思うと、いきなりバッと顔を上げた。
「薬師寺・・・お前・・・」
「あ? なんだ?」
「・・・・・・・・・・。」
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