眉薬 他

LoveSick


放課後、薬師寺は散々迷った挙句に、行くことにした。

ホームルームが終わってすぐに、言われたとおりの場所へ向かう。

ところが、いくら待っても誰も来る気配がなく、諦めて帰ろうかとしたその時だった。

草むらから突然誰かが飛び出してきて、あっという間に睡眠薬を染み込ませたハンカチで口と鼻を塞がれ、抵抗する間もなく薬師寺は眠りに堕ちて行った。

(・・・ココは一体どこだろう・・・?)

薄暗くかび臭い場所で、薬師寺は目を覚ました。

辺りはしん・・と静まり返っており、人気のない場所である事は瞬時に理解できた。

ボーっとしたまま辺りを見まわすと、跳び箱や平均台などが置いてあり、近くにはマットが見える。

あまり働かない頭で、どうして自分がこんな所にいるのか思い出そうとするが、途中から記憶がぷっつりと途絶えていて、状況がよく飲み込めない。

手は後ろでに縛られていて、何とか解こうとジタバタもがいていると、突然声をかけられた。

「おっ!気がついた?薬師寺ぃ」

「あまりにも無防備に寝てたから、襲っちまおうかと思ったぜ。」

聞き覚えのあるその声は、自分のすぐ後ろから聞こえてくる。

恐る恐る振り向くと、そこには渡嘉敷と阿久津が面白そうに、見つめていた。

「何のつもりだよ・・・お前らっ!」

「そんな怒るなって、薬師寺が大人しくしてりゃ、ひどい事はしねぇよ。」

「そうそ、俺達、薬師寺とイイコトしたいだけだからさぁ。」

二人の目が怪しく光りじわりじわりと近づいてくる。

自然に二人に圧倒されて少しづつ奥のほうに追い詰められてとうとう薬師寺は跳び箱にぶち当たって逃げ場を失ってしまった。

「そう、怖がるなよ。な?」

阿久津に頬を撫でられ、思わず背中に悪寒が走る。

今にも噛み付かれそうなほど顔を近づけられ、思いっきり顔を背ける。

「おい、嫌がってるし・・止めろよ。」

そう言いながらも渡嘉敷は少しづつ制服のボタンを緩めてゆく。

「わっ・・バカッ・・・やめろっ!!」

ジタバタ暴れてみるが、両手足を縛られているためはかない抵抗に過ぎず、露になった胸元に両脇から二人いっぺんに吸い付かれ、身体がビクッと震えた。

「・・・・・っ・・・んんっ」

イヤでイヤで仕方がなくて、何とか逃げ出そうともがいているとググッと髪を掴まれた。

「大人しくしろっての。じゃないと、マジで強引にヤっちまうぞ!?」

キラリと阿久津の目が光る。

「あぁ、そうそう、この間みたいに眉村が助けに来るなんて甘い考えは捨てたほうがいいよ。今、市原が足止めしてるから♪」

俺達も馬鹿じゃないからね〜といいながら渡嘉敷が面白そうに薬師寺を覗き込む。

「ま、諦めて俺達とイイコトしよ?」

「い、イヤだっつーの!!」

虚しく薬師寺の声が倉庫内に響いていた。


/ススム





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