もう何もわからねぇ・・・
一体どれだけ突っ込まれたんだ?
身体が鉛のように重い。
いつの間にか気を失った俺を置いて出て行ったあいつ等。
繋がれていた手首も外され、呆然と辺りを見回す。
それからどうやって寮に戻ったのか記憶にねぇ。
気がついたらそこは風呂場で、俺はただひたすらシャワーを浴びていた殴られたところが痛い。
だけど、身体の傷より心の傷のほうが痛かった。
何で俺がこんな目に遭わなきゃいけねぇんだよ。
シャワーの雫に混じって頬を伝う涙。
鼻の奥がツンっ・・・・と痛かった。
あぁ・・・もう、健に触れられねぇな。
俺の身体は穢れちまったから。
「・・・・ふ・・・・健・・・・っ」
あいつのことを思い出して、切なくて、胸が苦しくて・・・
ほんと小学校低学年以来だよ。声を上げて泣いたのは・・・。
コレが夜中でよかったぜ。
誰にも見つからないですんだから。
健はまだ起きてるのだろうか?
逢いたくねぇ・・・・・いや・・・逢いたい。
だけど・・・逢う資格ねぇんだ。
風呂から上がった後、俺はそのまま談話室で時間を潰した。
そして話は冒頭へ。
頼むから、追求しないでくれ。
俺の心が壊れちまわないように。
お前に軽蔑されたりされんのも、同情されんのも嫌なんだよ。
俺なら、大丈夫。
たいしたことじゃねぇよ。
俺は男だから・・・・。
眉村の視線を感じながら、それを遮るように自分の布団に潜り込む。
俺は大丈夫・・・今日のことはきっと夢で目が覚めればきっといつものも度に戻れるはずだから・・・。
この言葉を心の中で永遠と繰り返し唱えながら、俺はきつく瞳を閉じた。
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