眉薬 他

LoveSick


今日は練習の終わった後外出届を出していた。

前々から行きたかったライブがインターネット限定で手に入ったんだ。

すっげぇ嬉しくって、浮き足立った気分のまま、出かけた。

まぁ、そこまではよかった。

会場に着くと、もう人が沢山いて、俺は少しげんなりした。

人ごみってあんま好きじゃねぇんだよ。

だけど、コレさえ我慢すれば、楽しい時間が待っている・・・・・・・はずだった。


そう、”だった”。

しばらく列に並んでいると、不意に肩を叩かれた。

振り向くと、坊主頭のいかにも野球部ですって感じのやつが数人。

もちろん、俺にはこんなだっせっぇ知り合いはいねぇ。

「あんた・・・海堂の野球部だろ?テレビで見たことある。」

「あぁ!?・・・・だったらどうだっつってんだよ?」

甲子園で優勝してからというもの、こうやって絡んでくる輩は沢山いた。

どうでもいいけど、今、そんな話はしたくねぇ。

俺が睨みを聞かせると、青臭い男たちはフンと鼻で笑った。

「ちょっと、ツラ貸せよ。」

「はぁ!?・・・つか、悪いけど、あんたたちみたいな雑魚と話す時間なんて持ち合わせてないんでね。他あたってくれ。」

「なにぃ!?」

シッシッと野良犬を追い払うように手でやると、一人の男が胸倉を掴んできた。

「なんだ?・・・負け犬の遠吠えは見苦しいぜ?どうせ、地区大会かなんかで俺たちに負けた口なんだろうが・・・悪いけど覚えてないから。」

「この野郎!!!」

「殴りたきゃ殴ってみろよ。正当防衛で速攻けり食らわしてやっから。」

かかってこいよ。

そう言うと、案の定拳を振り上げてきた。

「おい、やめろっこんな所で殴ったりしたら、大問題だぞ。」

「グ・・・・」

仲間の一言で、そいつは振り上げた拳を元に戻した。

「へっ・・・やっぱり負け犬か。情けないやつらだな。」

いつもなら無視してやるのに、気分が高揚していたせいか、どうやら俺は少ししゃべりすぎたようだ。

入場が始まった列についていきながら、ヤツが「覚えてろよっ」と小さくはき捨てるのを、聞いたような気がした。


/ススム





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