眉薬 他
LoveSick
「おい、その傷・・・・どうしたんだ?」
部屋に戻ってくると珍しく眉村が起きてソファに座っていた。
いつもならとっくの昔に寝ているはずなのに・・・・
つか、会いたくなかったから時間潰して戻ってきたのにコレじゃ何の意味もねぇ。
「・・・・別に。ただ、ちょっと転んだだけだ」
「転んだ・・・・?嘘をつけ。」
そう言って俺の切れた右の唇に触れようとする。
「・・・・・・!!!!」
何時もならなんともないその行為すら、俺は無意識のうちに顎を引いて拒んでしまった。
しまった!
そう思った時には既に遅く、眉村は拒まれたことに対して考えをめぐらせ始めた。
いぶかしげな表情で俺を見つめるやつの視線は、今の俺には正直キツイ。
「・・・・・確かお前、今日は外出してたな。・・・・・それ、どうしたんだ?」
「・・・・・・・・・。」
もちろん俺は答えねぇ。
・・・・・・答えられない理由が、あるから。
前/ススム