「・・・・一体、どうしたんだ?今日の眉村は・・・。」
ざわざわと、観客やベンチから、そんな声が聞こえてくる。
試合は始まったばかりだと言うのに、マウンドにいるヤツはストライクが入らずに苦戦していた。
ベンチに下がって攻撃の準備をしてる時、ふいに佐藤が俺の肩を叩いた。
「・・・・・・・・薬師寺・・・・・ヤったね?」
「はっ!? な・・・なに言ってんだ佐藤っ!?」
いきなりなにを言い出すのかと、思わず声が裏返る。
「・・・・スポーツ選手のジンクス・・・知らないのかい?」
「じ・・・ジンクス・・・?」
なんだ・・それ?
俺はジンクスなんてもんはしんじねぇぞ・・
そう言ってやろうと思った矢先、佐藤の豆知識が聞いてもいないのに耳に飛び込んできた。
「試合前にヤるとね・・・どんな調子のいい選手でも、試合に勝てなくなるんだよ。 だから、大事な試合の前には控えなくちゃいけないんだ・・・。結構常識だから知っておいた方がいいよ?」
「・・・・・っ」
そ、そう・・・なのか・・・;;;
いや・・そんなはずは・・・・。
不安に思いながら、俺は自分の番が来て打席に入る。
・・・・・・・結果は・・・・
打てない球じゃないのに、全くかすりもしない。
それは、眉村も同様だった。
結局、試合はアメリカ代表チームの勝利で終了
俺は、ジンクスの恐ろしさを、身を持って体験したのだった。
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