無理もねぇか・・。
なんたって今日はアメリカの学生たちとの交流戦だもんな。
甲子園優勝のあと、日本代表として俺と佐藤と眉村と他何人か遠征に呼ばれた。
同じ高校生と言えど、相手は野球の本場。
チームメイトたちは一部を除いて知らないやつばかりだし。
そんな環境での初戦。
いきなり先発を言い渡された眉村。
当然周りからかかるプレッシャーも相当なものだろう。
「たく・・・なんて顔してるんだ。」
頬に触れると、ピクッと眉が僅かに反応した。
「大丈夫だって・・・佐藤もいるし。俺も精一杯援護するし。」
「あぁ。」
「なんだよ・・そんな顔するなって。 周りの奴らも不安になるじゃねぇか。」
「・・・・すまん。」
あぁ・・ダメだな。 表情がすげぇ固い。
何とかして解してやりたいけど・・。
色々考えて見てもいい案が思いうかばねぇ。
ふと顔を上げると、ちょうど薄い唇が目に飛び込んできた。
これしか・・・ない・・か・・・。
「おい、眉村!」
「・・!?」
グイっとユニフォームを引っ張り、顔を引き寄せて触れるだけのキスをする。
それは、ほんの一瞬の出来事でヤツは何が起こったのかわからないと言った表情をしていた。
「プッ・・鳩が豆鉄砲食らったような顔してんじゃねぇよ。」
「不意打ちとは卑怯だぞ。」
あからさまに不満そうな表情で俺を見る。
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