「!」
ドキン、と瞬時に胸が高鳴る。
チラリと視線を向けると眉村は何食わぬ顔で、解いた問題の説明を始める。
俺だけドキドキしてるのが癪で、あいつの手を思いっきり叩いた。
「こういう事はしない約束だ」
パチンッと言う小気味いい音を立てて怯んだその手を振り払う。
眉村は一瞬驚いた表情で少し赤くなった自分の甲を見つめ、フッと表情を緩めた。
「何がおかしい」
「いや……相変わらずつれないヤツだと思ってな」
なんとなく鼻で笑われたような気がしてムッとする。
「まぁ、そんな怖い顔をするな。折角の顔が台無しだぞ」
「五月蝿いっ!」
頬に触れた手を払いのけ、乱暴に教科書を手繰り寄せた。
「なんだ、説明してやってるのに……もういいのか?」
「ぅ……っ」
そういえばそうだった! ついカッとなってしまった自分に気が付き、もう一度眉村の側に教科書を差し出す。
真面目に説明している姿は少しだけかっこよく見えたりもする。
ただのムッツリ変態かと思ってたら、俺より頭いいし……。
悔しいけど、わからないものは仕方がない。
暫く説明に聞き入っていると、ふと俺の太股に手が当たった。
偶然に当たっただけだと思い無視していると、今度ははっきりと手が股の付け根に乗ってきた。
「おい! なんだ、この手は」
「何の事だ?」
シレッと表情一つ変えずに視線を教科書に向けたまま手は際どい部分を撫で擦る。
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