眉薬 他
LoveSick
シン、と静まり返った室内にカリッカリッとペンを走らせる音が響き渡る。
ふと視線を移すと飛び込んでくるのはアイツの横顔。
真剣に教科書を見つめる視線は伏せ目がちで、思ったより長い睫毛にハッとする。
コイツ……前々からイイ男だとは思ってたが、やはり整った顔立ちをしている。
「……。なんだ、さっきからジロジロと。俺の顔に何か付いているのか?」
訝しげに眉を寄せ切れ長の瞳に俺の姿が映し出される。
「いや。なんでもない」
そう言うと、眉村は「そうか」とだけ呟いて再び教科書に視線を落とした。
俺たちの部屋の暖房が壊れ、部屋が水浸しになった為にミーティング室を借りてテスト勉強をしていた。
「なぁ、眉村。お前ココわかるか?」
「あぁ、この問題は……」
教科書を寄せて肩が触れる。
スラスラと模範解答をノートに走らせるその姿に、思わず息を呑む。
やっぱ、コイツ凄い。
俺が数十分悩んでもわからなかった問題をいとも簡単に解くなんて。
感心してその解答に目を奪われていると、不意に肩を抱き寄せられた。
前/ススム