眉薬 他

LoveSick


「あら、可愛い! よく似合ってるわよぉ・・その制服」

「いや・・・、女モンの制服、似合ってるって言われても嬉しくないです」

ミニスカートに、紺のハイソックス。

少し伸びたくせ毛は一つに束ね、女物のピンで出来るだけ上に上げてうなじが見えるようにした。

唇には薄いピンクのグロスを塗り、甘い香りのする香水まで振りかけられた。

「・・・・っ、すみません、トレーニングコーチ・・・・香水はやめて欲しいんですが」

「あら? 気に入らないの?」

「さすがにこうも甘いと・・・・気分悪くって・・・」

「でも、もうつけちゃったし慣れたら気にならなくなるわよ」

ウフンとウィンクされ、薬師寺はげんなりと肩を落とした。

こうして、女子高生風薬師寺君が完成。

そのあまりの出来のよさに泰造は、1年より先に、2軍メンバーに彼を見せたくなった。

「さて・・・じゃ、先にお披露目ターイム☆ にしましょうか♪」

「え"っ!? 聞いてないです!! 嫌ですっ!!! 離してください!」

ジタバタともがく彼の腕を引っ張って、泰造は2軍メンバーの集まる食堂へと向かった。

「はいはーい! みなさん、注目!! 今日は、目の保養になる子を連れてきたわよぉ」

「ちょっと、コーチ!! 間違ってますって! 絶対みんな引きますっ!! 変なこと言わないでください!」

ざわつく食堂内に、泰造は問答無用で薬師寺を押し出した。

薬師寺の登場で、ざわついていた部屋が一気にし・・んと静まり返る。

(ほら見ろ!! 見んなドン引きじゃねぇか!)

薬師寺がそう思った瞬間、男達の野太い歓声が沸き起こった。

渡嘉敷→「うっわーなに、すっげぇ可愛いじゃん」

阿久津→「・・・・・・」(舐めるように見る)

あっという間に人だかりが出来て、薬師寺を取り囲むように生徒が集まっていた。

眉村は、遅れて食堂に入ってきたために、輪の外から薬師寺を遠巻きにしか見る事が出来ずにイライラしていた。

遠くから見ても見違えるようになった彼に、眉村は思わずごくりと息を呑む。

近くで見たらもっと綺麗だろう。


/ススム





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