眉薬 他
LoveSick
「は……ぁっん」
首筋に吸い付かれ、さすがに堪らず甘い声が漏れて慌てて口元を手で覆う。
(こ、このやろう。人前じゃ絶対触るなって、言ってんのにっ)
睨んでみても効果はなく、抵抗しようにもそれ以上の刺激を与えられ上手く力が入らない。
「敏感だな。見られてると、興奮するか?」
「なっ」
顔を上げて、文句を言おうとしてその視線に端に米倉を捕らえる。
このままでは見つかってしまう。
「人前で盛るなっていつも言ってんだろ!! このエロオヤジ!!!!」
とっさにそう思った薬師寺は、脱兎のごとくすばやい速さで逃げ出し、さらに眉村にエルボーを食らわしてタオルを掴んで出て行ってしまった。
「アイツ、何怒ってんだ?」
「気にするな、いつものことだ」
湯船の縁で打った鼻を押さえながら、静かに言った。
二人の事情を知らない米倉の頭には疑問符がたくさん浮かんでいたことは言うまでもないだろう。
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