ハリー達とのホグズミードを断って私は人気のないお気に入りの場所へと足を運んだ。ふわふわと風に揺れる淡いピンクの花柄のロングスカートが足に絡まる。私はスカートの裾を持って転ばないようにして小走りで行くと、いつもは誰も居ないはずのベンチに真っ黒な人が腕を組み寝ていた。
「………うそ」
それは絶対に見間違えることのない自分の想い人だった。
眉間に皺を寄せて眠るスネイプ教授の隣に座って彼の顔を覗き見る。
「格好良いなぁ」
絶対叶わないって分かってる。自分は生徒で、しかもグリフィンドールだ。教授と私は20歳も年が離れているし、彼はグリフィンドールを毛嫌いしている。
「………ん、…」
教授が少し唸ったかと思うとそのまま私の膝の上に倒れこんできた。脳内思考停止。顔に熱が集まってきて、私は目を瞑った。
落ち着け、落ち着け自分。もしこの状況を誰かに見られたらどうする?噂が立って私は教授を見ることすらできなくなってしまうかもしれない。それに教授から嫌われてしまうのは明白なことだ。
でも、教授ともっと一緒に居たい。
「スネイプ教授の、ばか」
私の気持ちなんて分かってないのに、こんな思わせぶりな態度をとって。
「誰が馬鹿だと?」
「へ」
いきなり下から声がしたと思うとそこには眉間に皺を寄せた教授が居た。
「聞き捨てなりませんな」
「あ、いや、その……」
「罰として我輩が良いというまでこうして居ろ」
「え、」
「良いですな?」
「……はい」
私の返事を聞くと教授はもう一度目を瞑った。私の膝で眠る教授は花畑で眠っているみたいだった。
レーススカートのお花畑
(……教授、大好きですよ)
(我輩もだ)
(え!?あ、寝言か…)
(そんな訳があるか馬鹿者)