靴箱を開けたら、大量のチョコレートがつまっとって、軽く気分が萎える。それを隣におった謙也が覗き込んできたのと同時にチッ、と舌打ちをした。あんなぁ、いいモンとちゃうで?と言えば嫌みや!聞こえへん!っつってふて腐れたように靴を履き替える。ほんまバレンタインとか毎年ロクなことないわ。とりあえず詰めれるだけ鞄に詰めて大量のこのチョコレート達をどうするか考えていると、前方でさっきふて腐れた謙也が一人の女の子に捕まっとった。相手の女の子は顔を真っ赤にしてもじもじしとって、なんやさっき俺にキレかかっとったくせに自分もやるやんか。せやけど謙也はおどおどしとってまあ、謙也らしいっちゃそうやけど男らしさに欠ける。そーゆうところがモテへんねんアイツは。相手の女の子は一見大人しそうな子で、謙也と話しているのはなんとも絵ズラがおかしい。そんなん関係ないけど。お互いがんばれ思てそのまま見とったら、とうとう女の子が可愛くラッピングされた包みを謙也に差し出した。

「おっおおおっおお忍足君っ!!」
「は、はいっ」
「ず、ずっと、す、す、すき…でした…」

おおおおお言った!
せやけどこんな人あつまっとるところで告白なんて勇者やなあの子。それに謙也は有名人やからすぐ噂回るやろなあ。大変でしょうけど俺応援するで!ちゅーてたら謙也は未だおどおどしながら、めっちゃちっさい声でありがとう、と呟いた。ほんっまだらしないなアイツ!

「あ、あの、お手紙、入ってるので、今、読んでもらえますか…?」
「えっ、あ、は、はい…」

周りに冷やかされてうっさいわ!とかキレながらも、覚束ない手つきで包みを開けていく。なかから可愛い封筒出て来て、それを読みすすめていくうちに謙也の顔がみるみる真っ赤になっていく。いやずっと赤かったけど。

そのあと女の子が、背伸びして謙也の耳に手を当てて、なんか囁いて、そのあとぐわっと顔を赤くさせたかと思うとすぐにどこかに走っていった。…なんやねんあいつら。
しばらく放心状態の謙也に近付いて手紙を取り上げたらバカ返せと言われたけど無視して手紙読んで絶句した。開いた口がふさがらんわ。

「人は見かけによらんなぁ」

手紙には、謙也への気持ちとチョコレートと一緒に処女貰って下さい的なことが書かれていた。いやいやあかんやろ。



2011年2月
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