返答は一つ、迷いなく

「名字、好きだ。俺と付き合え」

いつにも増して血色のいい爆豪くんを前にして私が思ったことは、「どのツラ下げてそれ言ってるの?」であった。
彼、爆豪勝己は、小学校から私のことをこれでもかといじめ倒してくれた。そりゃもう、彼がデクと呼んで馬鹿にする緑谷くんに負けず劣らず私は彼にブスだのクソアマだの死ねだの言われてきたし、その派手でお強い個性でもって何度も何度も脅されては実費で彼の所望する惣菜パンやらジュースやらを買って来させられたりした。給食出てんだろうが。腹ペコキャラか?
しかしこのクソ野郎は何せ顔が良かった。おまけに頭が良いし、運動もできる。ちょっと不良っぽいところもワイルドで素敵、なんてギャル系の女の子たちには人気だったので、パシリとしか見えないような私でさえ近付くことを疎まれた。そんなに私が爆豪くんと近付くのが嫌ならいくらでもポジションを代わってやりたかった。実費でパンやジュースを買って来させられているのを見ているのに、媚売っているとか何とか言っていたがその目は節穴か?と何度も思った。ビビりな私は、何も言い返せなかったけれど。そして爆豪くんに口答えすることもできなかったけれど。
まあ、今まで散々私をいじめ倒してくれやがったクソみたいな爆豪くんからの突然の告白(赤面付き)に対する、私の返事などただ一つだ。そうだ、悪の権化のようなこの男に言ってやるのだ名前。

「よろしくお願いします……!!」

言い忘れていたけれど。
これは私と彼が仲睦まじいカップルになって幸せな結婚をするまでのラブストーリーである。

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テーマ「人外ファンタジー」
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