少なくともちょっとおかしい爆豪くん

「んんあ〜かっちゃぁん!どうしよ数学ぜんっぜんわっかんないよ〜!このままじゃ私留年しちゃう!」
「馬鹿かてめェ。俺らが通ってんのどこだと思ってんだ?てめェのクソみてえな頭じゃ中学に留年制度がねえことも理解できねえのか?」
「わかるもん……」
「じゃあ口動かす前に手ェ動かせや。ったく、てめェマジで救いようもねえ馬鹿だな……?俺がいなきゃ何もできねえじゃねえか」
「だってわかんないんだもん……証明って何?何でこの図形が相似してること証明しなきゃいけないの?これに何の意味があるっていうの?」
「ちゃんと知識が備わってるかの証明にもなんだろうよ」
「うわあん!知識なんてないよ!」
「わかっとるわ」
「わからないでよ!」
「あああうっせえ!いちいち騒ぐんじゃねえ!!何だっててめェはそうやっていちいち騒ぐんだ?舌でも切られたら大人しくなんじゃねえのか」
「舌切るのはやだ……」
「切らねえよ安心しろ、鋏汚れる」
「そっちなの?鋏の心配なの?もっとこう、おまえの声が聞けなくなるのは惜しい的な思考はないの?」
「てめェの声が聞こえなくなったところでさして問題はねえな」
「うぅ……ひどい……かっちゃんのばか……」
「馬鹿?馬鹿っつったか?てめェが!俺に!馬鹿の権化みてえなてめェが!この俺に!クッソムカつくわ!帰るからな!」
「待って待って待って待って行かないでお願いかっちゃん!ごめんなさい!ばかの代名詞みたいな私がかっちゃんにばかとかほざいてごめんなさい!うそ!かっちゃん素敵!完璧!天才!行かないで!大好き!」
「てめェの頭悪ィ余計な一言で更に気分悪くなったわ。帰る」
「待ってええええ見捨てないでええええええ」
「だからうるせえっつってんだろ!口閉じてペン動かせやボケ!頭の悪さは変わらねえんだからせめて勉強する気概くれえ見せろや!」
「わ゛か゛ん゛な゛い゛の゛お゛お゛お゛!」
「ああああ泣くんじゃねえよ鬱陶しい!ったく、てめェはマジで昔から……ア゛ァ゛!?鼻水垂らすな汚ねえな!それ以上俺に近づいたら本気で帰っからな!」
「ううっ……ずびっ……ひどいかっちゃん……」
「ひでえのはてめェの顔のほうだカス。よくもそんなひでえ面晒して生きられんな」
「本格的にひどい……うぅ」
「おい、目ェ擦んじゃねえよ。見るに堪えねえ顔が更に見られなくなんだろが」
「かっちゃんひどい……ひどいかっちゃん……女の子に言う言葉じゃないよそれ……」
「生憎俺はてめェを女と認めてねえ」
「かっちゃんは私の心を抉るのがそんなに楽しいの?」
「は?何で俺がそんな無駄なことしなきゃなんねえの?クソ無駄だわ。人生ってのは時間に限りがあんだよ、そん中でてめェみてえな何もできねえ馬鹿の心抉って何を得られんのか、俺に教えてみろや」
「……うん……何にもないかな……」
「なら無駄口叩いてねえで早く課題やれや。どうしてもわからなくなったら手ェ貸してやらねえこともねえ」
「どうしてもわかんないってさっきから言ってるよ?かっちゃんに私の言葉届いてる?」
「教科書ちゃんと見たんか?」
「何書いてあるかわかんないよね教科書って!」
「義務教育じゃなきゃ今頃てめェ死んでんな。俺時々てめェが「天才が一生懸命馬鹿装ってんじゃねえか」って思う時があんだけどよ、やっぱそうじゃねえわ。てめェただの馬鹿だわ。来世もきっと治らねえだろうよ」
「今、ばかは死んでも治らないって言われた気がする」
「気がする、じゃねえよ。そう言ったんだよ」
「ひどい」
「何がひでえってんだよ、てめェの頭の出来のほうがよっぽどひでえだろが。てめェみてえな救いようのねえ馬鹿の相手させられる俺に申し訳ねえと思わねえんか」
「思う……」
「ならちったあマシになれよ。ったく……いいか?名前。てめェはマジで脳が足りねえちゃらんぽらんだ。おまけに見るに堪えねえひでえ顔をしてやがる。わかるか?」
「わかります……」
「つまりてめェは俺に頼らざるを得ねえんだ。俺だからこそ……周りにいる誰よりもすげえ俺だけが、てめェの、名前の面倒を見てやれる。わかるか?」
「うん……」
「それが分かる程度の脳はあって心底安心できたわ。んじゃまあ、悪ふざけはここまでにして、本格的にやるか」
「え、かっちゃんふざけてたの?」
「俺はふざけてねえけどてめェの脳味噌は悪ふざけみてえなもんだろ」
「エッほんとに?ひどい……」
「てめェ数学だけじゃなくてそれ以外の教科も満遍なく理解できてねえんだからここだけに時間かけるわけにゃいかねえだろ。一分一秒を惜しみやがれ、オラ、ペン持てや。こっからは戦争だと思えよ」
「うえぇ……死んじゃう……」
「受験に失敗して世間的に死にてえってんなら今を生き延びても全く問題ねえけどな」
「ワーイ名前ちゃんがんばっちゃうぞー!」
「素直なんはてめェの美点だな、伸ばせよ」
「わあ褒められた!」
「安い喜びだな」

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