行く年来る年君が好き

「……もしもし、爆豪くん?どうしたの?」
『大晦日におまえの能天気な声が聞きたくなったんだよ』
「あとちょっとで今年終わるよ?」
『っせえ、いいからなんか話せや』
「ん〜……って言われてもなあ。……爆豪くん、おそば食べた?」
『話すことそれかよ』
「だってそんな、いきなり話せって言われても困るよ……ん?ていうか爆豪くん、今外にいるの?なんか風の音する。初詣とか行くの?」
『……まあ、だいたいそんなもんだ』
「へえ〜、いいなあ、私も行きたい」
『行きゃいいじゃねえか』
「一人で行くの寂しいし……」
『……、』
「爆豪くんは学校の人と行くの?」
『ちげえけど』
「ふうん……?でも寒いし夜だし気をつけてね。マフラーしてる?コートは?」
『着てるししとるわ。……おまえ今何してんだ』
「ホットココアを飲みつつテレビを見ながら爆豪くんと電話してるよ」
『なんかやることねえのかよ』
「え〜?おそば食べたし、大掃除も終わったし、もうやることないよ。あとは爆豪くんに今年はありがとうございました〜って言うくらい」
『もう言ってんじゃねえか』
「だってもう今年終わるよ」
『……今何時だ』
「うん?ん〜とね、11時54分」
『そうかよ』
「今日腕時計つけてないの?」
『忘れた』
「珍しいねえ」
『っせ、急いでたんだ』
「そうなんだ……?」
『あと6分か』
「年明けまで?そだね。……ね、爆豪くん、もしよかったらなんだけど……」
『着いた』
「へ?どこに?神社?」
『ちげえ。表出ろ』
「ヤンキー……?」
『ちげえ。早よしろ』
「う、うん……?ってもしかして、えっ!?」
『気づくのおせえ』
「……爆豪くん会いに来てくれたの?」
「……もう電話いらねえだろ」
「あ、うん、そうだ、ね……?てゆか、なんで会いに来てくれたの……?」
「……高校」
「高校?」
「高校離れたし、雄英は途中で寮になっちまったし、会う機会も減ったろうが。別に……それがどうってわけじゃねえけど……」
「爆豪くん寂しかったの?」
「ア゛ア゛!?それはおまえのほうだろが!!」
「私が寂しがってると思ったから会いに来てくれたの?」
「……、…………悪ィかよ」
「ううん、うれしい。ありがとう爆豪くん」
「……クソが」
「でもね、爆豪くん時間作って会いに来てくれてたし、そうやって気にかけてくれるから結構私、平気だよ。や、寂しいし、会えるに越したことはないんだけど〜……なんて言ったらいいのかな」
「語彙力ねえな」
「うん、へへ……」
「……なあ」
「うん?」
「こっち来い」
「……ハグですか?」
「そうです」
「……ふふふ、ふ」
「笑ってんじゃねえ」
「爆豪くん冷えてますね。上がってく?」
「良い。つかおまえも着替えろ」
「なんで?」
「初詣」
「行ってくれるの?」
「行ってやる、……ああ」
「うん?」
「あけましておめでとう」
「おめでとうございます」
「今年もまあ、よろしくしてやる」
「えへへ、よろしくね爆豪くん」
「ん」
「あとね」
「あ?」
「今年も好きだよ」
「……そうかよ」

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