爆豪くんがドッ好み

私が雄英高校に入学したいと思ったのは、クックヒーロー『ランチラッシュ』の料理が安価で食べられると知ったからだ。くだらないと思うことなかれ、私は食べることが好きだし、何より食欲は人間の三大欲求のうちの1つなのだ。なにもおかしくはない。まあそんなわけだから、私は必死に勉強してこの雄英の普通科に入り、現在食堂にてランチラッシュの激ウマ料理に舌鼓を打っている。ごはんがおいしいって幸せ。しかしそれでも私は花の女子高生、ごはんに集中していようが友人の会話に耳を傾けるのはマストのスキルだ。今は、ヒーロー科の男子がかっこいいという話をしているらしい。女の子だなあ。いや、私も女の子だけれども。
みんなに大人気なのは轟くんだ。家柄よし頭よし個性よし、そして何より顔が良い。雄英のヒーロー科の、たった4枠しかない推薦枠を勝ち取った1人。そりゃ魅力的にも見えるだろう。赤白ツートンカラーの髪がめでたいなあと思う。ただまあ私の好みの範疇ではなかった。
あれこれ話している友人たちは、目の前の食事に集中して一言も喋らない私に話を振った。曰く、黙ってるけど名前はどうなの?と。

「好みのタイプってこと?」
「そうそう。あんたのそういう話全然聞かないからさ」
「誰がタイプ?別にヒーロー科に限定しなくてもいいけど」

好みのタイプといったら、ど真ん中がいる。それはもう第一印象から決めてましたってレベルの。

「爆豪くんかな」
「エッ」

彼女らの声が揃う。……そんなにおかしいことを言っただろうか。唐揚げの最後の1つを頬張りながら首を傾げると、あんた本気?と尋ねられた。しばらく咀嚼して飲み込み、手を合わせてごちそうさまでした、と一言。……で、なんだっけ。本気か否か?

「好みのタイプでしょ?本気本気」
「えっ、あんたああいうタイプが好きなの……」
「確かに顔良いけど不良じゃん」
「めっちゃ腰パンしてたけど」
「いや、別に爆豪くん個人が好きってわけではないけど……ただ顔はめっちゃ好み」

色素の薄いツンツンした頭、自信満々なつり目の三白眼、赤い瞳もポイント高い。細身のように見えてよく見ると案外がっちりしているし、手なんて節くれ立っていて、個性を踏まえてみれば皮膚が硬そうでかなり好みだ。……というのを口にしたら、よくわからないと言われてしまった。解せない。何がよくわからないのだろう?最高じゃないか爆豪くん。


ここまで!
こういう感じの連載とか考えていたんですが、あんまり続きそうになかったのでやめました

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