きちんと「待て」ができるかな

反省も後悔もしているし、何なら今謝罪してもいい。最上級の謝罪をしてもいい、何でもするから許してください!とか。いや、何でもはしない。そんなことを言ったら結局振り出しに戻ってしまうかもしれないし。いや本当に、口は災いの元とはよく言ったものだ。つらい。きっかけはただ一言だった。その場のノリで、怒られるかもしれないけどなんだかんだ優しい……優、しくはない、けど寛容……?な爆豪なら許してくれると思っていたのだ。「テメェバカなこと言ってんじゃねぇぞ!」と言われるくらいで。手が出たとしても頭を叩かれるかそのくらい。爆破はたぶんされないだろう。だって、私が今まで何を言ってもそのくらいで許してくれたんだから。……いやそこまでひどいこと言ったことなかったからなんだろうけど。だからって、今回のがそんなに爆豪の怒りを刺激してしまうなんて思わなかった。
え?何を言ったかって?ええと。爆豪のセックスってなんか暴力的っぽいよね、って。だって爆豪私のこと女として見てないと思ってたんだもん!下ネタ振っても怒らないと思ってたんだもん!爆豪ってクラスの女子にはさほど興味なさげだけど日常生活で手をあげるようなことはしないのに、私に至ってはどつくわ叩くわ暴言吐くわ、挙げ句の果てには「テメェよか俺の方が女子力あんじゃねえか、いや俺は別にいらねえけど。わけてやろうか?あ?」とか言い出す始末。あれ?本当に女子扱いされてないな。
でも私がそれを言ったときの爆豪と言ったら。いつもはキャンキャン吠えてる中型犬くらいにしか思ってなかったのに、低い声で「あ?」って凄んできて。びっくりしたし一瞬こっちを威嚇してる狼とかライオンとかそのへんだと思った。うそ、一瞬じゃない。今も思ってる。そんなに怒ることかと思って、それでもまあ悪いこと言っちゃったんだなって謝ろうとしたらこの野郎、いきなり私にキスしやがってきたわけだ。
教室で何してくれてんのと思ったには思ったけれど、残念なことに日直の仕事で、教室内に残っていたのは私と爆豪だけ。正真正銘の二人きりだったわけで。だからと言って見回りの先生が来ないとも限らないし、もしかしたら隣のB組から誰かが尋ねてくるかもしれない。物間とか。
いやまあそれはさておき、彼氏いない歴=年齢の私は疑いようもなくファーストキスだったのに、し、舌が入ってきた。ぬるっとした。熱いし。思わず押しのけようとした手は流れるように爆豪に掴まれたし身動きもとれなくなって。爆豪が、キスが上手なのかはわからないけれど、長々と口の中を蹂躙──今こそこの熟語を使うべき、と言えるくらい的確な表現だった──されて、身体の力が抜けたあたりで腕は解放された。でも、それは腕の拘束に意味がなくなったからなんだろう。

「肺活量ねえなァ」
「そ、いう、問題……!?」

息も絶え絶え。ヒーロー基礎学で延々走り込みさせられた時と同じくらい息苦しくて、身体中に足りない酸素を送り込むために心臓が必死に脈動しているのを感じる。どっくんどっくんと鳴るそれは、たぶん酸素が足りないだけじゃなくて──皆まで言うな。

「興味があんなら、」
「は……?」
「みっちり教え殺してやらぁ」
「いや、い、いらない……っ」
「遠慮すんなよ。興味あるからあんなこと言ったんだろ」
「興味あったわけじゃ……」

ない。そういうわけではないのだ。ただ本当に、ふと、そう思っただけ。強いて興味があると言えば、そういうことを言われた爆豪がどういう反応をするのかということ。あーなるほどこういう反応をするんだなーふーんわかった、もういい。目的は果たしたから爆豪はそこを退くべき。
……ていうか。

「ば、爆豪、ほんとに……本気……!?」
「冗談に見えんのか」
「あ、頭おかしい……頭おかしいよ……!もっと可愛い子いるでしょ……!?」
「うるせえブス殺されたくなけりゃ大人しくしてろ。あと頭おかしいのはてめェだよ」
「わ、わかる……わかるけどやめよ……!?」

この際頭がおかしかったのは認めるから本当に勘弁してくれないかなあ爆豪……。ていうか、いっそ誰かが通りかかってくれたほうが、いやダメだそうなったらまず爆豪に何かしらの制裁が行くかもしれない。同意の上であると説明すればまあ良いのかもしれないけれどそうなったら校内で不純異性交遊をしていたということで白い目で見られてしまう。実際には何も悪くない……い、いや、2割……いや、1割くらいしか悪くないのにそれはあんまりな話じゃないだろうか。
だからつまり最善策としては爆豪にこれをやめてもらう必要がある。ていうか嫌だ、処女喪失は愛する彼氏とロマンティックなシチュエーションでと夢を持っている処女だ私は。いやだ!適当なこと言ったせいで相手をキレさせて放課後の教室で強姦なんて絶対にいやだ!!
こんがらがる思考回路の中でどうにかこの状況から逃げ出す術を模索していた私は、ふと今が日直業務の最中だったことを思い出した。そうだ。

「に、日誌……」
「あ?」
「日直日誌!届けないと!あんまり遅くなると相澤先生が見に来るかもしれないし……!」
「……チッ」

爆豪は忌々しげに舌打ちしながら(コイツがこんなに怖く見えるの初めてだ!)、書き途中だった日誌を乱雑に仕上げて、パンッ!と大きな音を立てて閉じる。何で爆豪、こんなに力一杯生きてるの……?コワイ……。
爆豪が荷物を持って立ち上がり、その足で日誌を職員室まで届けに行こうとしているのを確認しながら、そろそろと後退する。大丈夫、私の逃げ足は速い。スピードだけなら爆豪にも引けを取らない。校内で爆速ターボをするわけにはいかないだろうし、爆豪が個性無しで走ることを余儀なくされている間に寮に滑り込み、自室に入ってしまえばこちらのものだ。そう算段をつけていた時、爆豪が振り返る。その顔は凶悪そのもので、私は思わずビビった。会敵した時と同じくらいビビってしまった。勘弁しろ。

「ここで逃げやがったらてめェ、どうなるかわかってんだろうな」
「……ど、どうなるっていうの……」
「肉便器にしてやる」
「ヒッ……」

ヒーローの発言じゃない!嘘でしょ爆豪超頭おかしいよ!でも爆豪の発言を「あははまっさかー!いくら人を数人は殺してそうな顔してる爆豪でもそこまではしないでしょー!ウケるー!」と片付けてしまうのはあまりにもリスクが高い。信じて送り出した娘が肉便器になってるなんてエロ同人が如き展開を私が受け入れられるはずがない。いや爆豪が本当にそういうことをするとは思わないけれど、それでも万が一という可能性がある。
逃走することを諦めて爆豪の後をついて行く私はさながら、ドナドナされていく子牛のような顔だったことだろう。
私はどうにかして爆豪から逃れる術を探していた。しかし爆豪は私の手首をがっちり掴んでいるし、逃げようものなら手首が吹き飛ぶ気がする。いや、さすがにそこまでのことはしないにしても捻り上げられる程度のことはしそうだ。今までの経験上。いやそれでも寮に着けば状況が変わるかもしれない!共有スペースにはおそらく切島とか上鳴とか切島とか、あと切島とかがいるはず。爆豪が私の手首を掴んでどこかに行こうとしているところを見れば、さすがに「なあ何してんだ?」くらいのことは言ってくれるだろう。爆豪がどちらの部屋に行くにしても、それを不審がらないはずがない。そうなれば逃げることもできるんじゃないだろうか。いずれにせよ私が単独で自室に入ることさえできればオールクリアだ。大丈夫、爆豪はさっき“ここで逃げやがったら”と言った。ここ、つまり教室でという解釈ができる。寮は先ほどの言葉の範疇に含まれない!つまり私は肉便器にされない!論破!
どっくんどっくんとけたたましく鼓動を続ける心臓あたりを何とか押さえつけながら、爆豪の足が寮に向かっていることに一抹の安堵を覚える。そして寮の中に足を踏み入れた時、私は胸中でガッツポーズをした。
切島と上鳴に瀬呂、そして飯田くんと緑谷くんがいる。女子はいないが仕方ない、飯田くんがいれば「不純異性交遊は良くない!」と一喝してくれるに違いない。爆豪がそれに従うかどうかは別の話だけど、それを聞いたら上鳴あたりは「そうだぞ爆豪!」とか乗ってくれるはず。なし崩し的に爆豪が萎えてくれれば万々歳!

「なあ何してんだ?」
「あ?」
「いや実はね切島ちょっ「コイツの頭があまりにも悪すぎてムカつくどころか逆に哀れになってきたから今からシワひとつねえ脳味噌に知識叩き込んでやんだよ」待って?」
「そうかぁ」

そうかぁ、じゃない!違う!先手を打たれた、これで私と爆豪が同じ部屋に入る理由ができてしまった。いや、いやまだだ、まだ終わらんよ!

「あー爆豪俺にも教えてくれよ!」
「手一杯だ他当たれアホ面」
「ば、爆豪頭いいじゃん?要領もいいじゃん?複数人を同時にさばくくらい簡単でしょ!上鳴にも教えてあげよ!?」
「俺の要領が死ぬほど良くてもてめェの要領が良くなきゃ意味ねえしこの俺がつきっきりで見てやるっつってんだから跪いて床に頭擦り付けながら咽び泣いて感謝するくらいの気概見せろやクソアマ。つか体良く逃げようとしてんじゃねえぞ」
「感謝できるか!!」
「よお名字」
「ななな何だよお……!やんのかよお……!」
「楽しくお勉強しようぜ、なあ?」
「アハハ!名字がんばれよ!」
「骨は拾ってやるからなー」

オイ嘘だろ誰も助けてくれないぞ!今から私が何か騒ぎ立てたところで勉強するのがあまりにも嫌なだけだととられてしまう可能性が高い……飯田くんだって今の「勉強」で丸め込まれてしまっている。ハッそうだ緑谷くん!緑谷くんは……だめだ!あの顔は「かっちゃんが自主的に誰かに勉強を教えようとするなんて……!」とか思っているときの顔だ!お前は爆豪の親かよ〜!?……いや待て、そもそも私はそこまで頭が悪いわけではない。この間の中間ではクラス順位14位だ、確かに半分以下の位置にいるけれども、それだって言うほど頭が悪いわけじゃない。というか爆豪の友人と呼べる範囲の人間の中では一番頭が良いはずだ。それなのに「ムカつくどころか逆に哀れになる頭」とか言われるなんて、おかしくないだろうか!論点ズレてるけど貞操を守るためならなんでもする!

「ば、爆豪!私の頭より上鳴の頭のほうが心配じゃないかなァ!?」
「アホ面は手遅れだ」
「そ、そんなことないよォ!上鳴だって今までのテストクリアしてるじゃん!そりゃ百の尽力がなきゃ不可能だったかもしれないけど、逆を言えば尽力すれば救いようがあるってことだよね!?」
「俺が尽力してやる義理はねえ」
「友達でしょ!?」
「うっせえんだよ口答えすんなこのクソブス!!公衆便所に括り付けて置いてくぞ!!」
「ごめんなさい!!!!!!!!」

肉便器にされる!!!
しかも公衆便所って……公衆便所って!発想があまりにもエグすぎるよ爆豪!ヒーロー科の発想とは思えないよ!そうしてズルズル引きずられて部屋に引き摺り込まれ、ベッドに放り投げられた。つ、詰んだ?これもしかして詰んだ……?ていうか女子を投げるな。

「ば、爆豪……今ならまだこれ冗談にできると思います……!」
「なあ」
「ヒッ」
「仮に俺がここでやめたとして、マジで冗談にできんのか?」
「え……っと?」

……それは、どうなんだろう。仮にここで爆豪に「冗談だ。てめェなんかに勃つわけねえだろ」とか言われたとして、私はそれを流せるだろうか。許せるだろうか?……いやもうどう考えても許せないな。二、三発は殴らせてほしい。というかそもそもファーストキスを奪われた事実は変わらないわけで。処女が夢見るファーストキスを奪った罪は重いわけで。それもなかったことになるんだろうか。……。

「冗談に……で、きない、ですね……」
「そうだろが。なら腹ァ括れよ」
「えっ……いや、……いやだ」
「ア゛ァ゛!?いい加減往生際が悪ィんだよ観念しろやクソアマぁ!!」
「そ、それとこれとは話が別でしょ!?ていうか爆豪は違うのかもしれないけど私経験ないし!?そんなほいほい身体差し出せるか!!」
「あ?」
「え?」
「てめェ処女か」
「ど、ド直球か〜〜!?ふざけんなよこのデリカシー死滅男!!高校生で経験ある奴なんてそうそういるわけないでしょ!!」

私は慎ましく生きてきたのだ。……いや別に慎ましくはないけど。彼氏がいたことはあるけど。でもそれだってファーストキスがまだだったあたり察して欲しい、せいぜい手を繋いでデートしたことがあるくらいなものだ。というかこの反応からして、爆豪は私のことを非処女だとでも思っていたのか。そんな軽い女に見えたか私が。
などとと騒ぎ立てたところ、爆豪は「セックスがどうだのいきなり言ってくるような女が処女だと思うか」と仰せになられた。まったくもってその通りだった。ぐうの音も出ない。デリカシーが死滅しているのは私のほうだった。

「だ、だとしても!初めてが恋人でもない男子とか絶対いやだから!」
「じゃあ付き合うか」
「は?」
「付き合うか、っつってんだよ」
「……ヤってる間だけ恋人になって終わったら別れる的な……?それセフレと何が違うの?」
「誰が今だけっつったよ」
「……はい?」
「もう良いわ黙ってろ」

ファーストキスのみならずセカンドキスも奪われたし、またしても舌が入ってきた。物理的に黙らされてしまっている。
口の中をまたしても蹂躙されている間に、爆豪の手がお腹に触れた。お腹はやめろ!ヒーロー科の授業で普通の女子高生より鍛えているとはいえお腹に自信が持てるほどじゃない!……いや、待って。ブラウス捲り上げられてない?お腹どころかこれ、胸まで。

「……っん、んン〜っ、ふ……!……っぷぁ!」
「暴れんじゃねえよ服剥いで放り出すぞ」
「な、なん……っこ、この強姦魔!」
「ハッ、合意だろうが」
「合意、して、ない……っひぃ!」

服だけではなくブラまでたくし上げられた。あ、ち、畜生、今日はお気に入りのブラを着けていたのが少し悔しい。適当なくたびれたようなブラをつけていれば爆豪も萎えたかもしれないのに。ていうかお気に入りのブラなんだからそんな乱暴に扱わないでほしい……。結構値段張ったんだぞ。
いや、ブラじゃない。ブラもそうなんだけど、私の胸も乱暴に扱うのをやめてほしい。ていうかそこまで大きくない(小さいわけでもないから!)胸をブラで若干盛ってたのが今この瞬間爆豪にバレた普通に恥ずかしい。

「くっ……いっそ殺せぇ……!」
「負けた女騎士か?」
「なんだかんだネタ拾ってくれるとこ好きだけど今は嬉しくない!離してよ〜!どうせ思ったより貧乳だな盛ってたんかよとか思ってんだろ〜!」
「別に思ってねえよ」
「嘘つっ……ひぇ!」

な、舐め……っ舐めた!こいつ、舐めた!女子にとってデリケートな場所を舐めた……!
え、いやだ。何かぞわぞわ……いや、ぞくぞく?してきた。え、嘘でしょ?マジで?ほんとにこれ最後までしてしまう……?ほんとに付き合うことになったんだかよくわかんない爆豪と?付き合うことになったんだとしてもこんな、その場のノリで適当に〜みたいな流れで?

「う、ぅ……っふ、うあぁああ〜〜……っ」
「……は?」
「も、もう、なんなの、爆豪のバカ〜〜っ!」
「おい……?」
「やだって言ってるじゃんか〜……っ!」
「マジ泣きかよ……」
「うるさいバカ!もうやだ爆豪きらいっ!離してよこのドスケベ〜!!」
「あーあーわぁった、落ち着けクソアマ」
「ど、どっちが、どっちがクソだ……っ」

どう考えても爆豪のほうがクソでFA!!
情けなくもマジ泣きしながら暴れたら爆豪も勘弁してくれたようだった。そりゃ癇癪を起こした子供のように泣かれたら血も涙もないような顔とクソを下水で煮込んだような性格を持ち合わせる爆豪も戸惑うだろうな。
などと考えていたら爆豪がなぜか私のおでこやら目尻やらほっぺやらにキスをしてきた。ついでにたくし上げたブラとかブラウスも直してくれている。後者に関してはともかく前者は意味がわからないんだけど。何でこいつこんな、拗ねた彼女を宥める彼氏みたいなことしてるんだ?というか爆豪は今ほんとに私の彼氏なのか?

「う、うぅ〜〜……っ」
「もうしねえよ」
「……両手をついて謝ったって許してあげない……」
「ア゛?誰が許してほしいっつったよこのままブチ犯されてえのか盛り乳」
「やっぱり思ってたんだっ!盛ってるって思ってたんだーっ!爆豪のバカ!見て見ぬふりしてよ優しくない!死んじゃえデリカシー死滅男!!」
「育ててやるから安心しろよ」
「今更育つかっ!気休めやめろエロ同人みたいなこと言いよってからに!ていうかそこまで小さくないもん!今まで爆豪が見てきた女の子がどんだけ巨乳だったかは知らないけど私そこまで小さくないもん!!」
「は?誰のもんも見たことねえわ」
「え?童貞なの?」
「だからどうした」
「え……?」
「あ?ンだその反応」
「……爆豪絶対非童貞だと思ってた……」
「何でこの俺がそのへんのモブ相手に盛んなきゃいけねえんだよ」

……え、マジで爆豪童貞だったの?嘘でしょ。童貞なんて中学で捨ててやったぜ、みたいな顔しておいて童貞なの?……ていうかそのへんのモブ相手に盛りたくないということは私は何?

「……あのさ、間違ってたらぶん殴ってくれて構わな……あ、嘘。ちょっとはたくくらいなら構わないんだけど」
「ンだよ手短に言え」
「……爆豪私のこと好きなの?」
「今気付いたっつーんならそれこそてめェぶん殴るからな」
「えっ嘘……だ、だって爆豪私のこと女扱いしないじゃん」
「は?むしろてめェ以外を女扱いしてたことがあるんか」
「それは知らないけど!でも私のことどつくし叩くし罵るし!」
「爆破はしてねえからセーフだろ」
「いや手ぇ上げたらアウトだよ!?」
「そうかよ。で?」
「でって何?」
「てめェはどうなんだよ」

どうとは。……いやわかるよ、爆豪が言いたいことはわかる、てめェは俺のことどう思ってんだよ的なことを聞きたいんだろう。わかる。……わかるけど……ええ、私爆豪のことどう思ってるの?少なくとも嫌いじゃないし強姦未遂のことされても訴えようと思ったりぶん殴ったりしない程度には好意的……?……。…………。

「……。……す、好き……かも……?」
「言質取ったからなクソアマ」
「えっ待って待ってちょっと待って、服を脱がせようとしないで!ステイ!」
「犬扱いすんな肉便器にすんぞ」
「そ、それが好きな子に対する言い草か!?ち、ちがう!わ、私は……っ私は初めては付き合ってから3ヶ月目のデートの後がいいんだもん!!」
「……あ?」
「や、やめろ!私をそんな目で見るな!いい歳こいて少女漫画脳かよみたいな目で見るな!」
「……つまりそれは、あれか。てめェは一丁前に俺に3ヶ月おあずけ食らわそうとしてんのか?」
「だ、だって、こ、心の準備がっ」
「………………ハァァアァ〜〜……っ」

爆豪が肺腑の奥から絞り出すようなため息を吐いた。え、そんな落胆するようなこと……?

「……わーった。3ヶ月待ってやる。その代わりてめェ、3ヶ月後覚えてろよ。脳味噌溶けるまでヤり殺してやる」
「ひ、ひぇ……」

これ当面の貞操は守られたけどご丁寧にカウントダウンされることになってしまったし、3ヶ月後そこには快楽漬けにされた名前の姿が!みたいな感じになってしまったし、もしかして選択間違えたんじゃないか?


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